二十二話:歪む世界
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どころか、副産物に過ぎないのだ。
彼は自身の体の時間を制御していたのではなく―――
「自由自在に時間を操ることのできる世界を創り出していたのだよ!」
時間を制御する世界を体内に展開してそれを応用していたに過ぎない。
体内に限定して使われていたのは単に負担が大きすぎるためであるが、外にまで展開できることは本人ですら知らない。
何故ならば、外に世界を展開してしまえば切嗣自身が耐えきれずにすぐに死んでしまうために一度も試そうと考えなかったからである。
「世界を?」
「その通り。大地も空も、空気も全てを内包した彼だけが持つ世界を生み出し、現実世界を塗りつぶしているのだよ」
「確かに素晴らしい能力です。ですが、リスクと合わせればそこまでの物になるのでしょうか?」
世界を創り出すという馬鹿げた次元での能力だ。
幾ら戦闘機人であってもそんなものを展開してしまえば到底もたないであろう。
それ故に実用性としては余りないのではないのかという意味でウーノは問いかける。
しかし、スカリエッティは全くそう思わないのか首を振る。
「確かに想像を絶する負担がかかるだろうが、足りないものはよそから持ってくればいいだけだよ。それよりもだ、世界を塗り替えることができるのなら―――この世界を望む世界に変えることもできるのではないのかね?」
狂気の光がともった瞳がこれまでにないほどに見開かれる。
これだけの狂気は流石のウーノも見たことがないために思わず言葉を失う。
そんな娘の様子にも気づかないほどにスカリエッティは興奮したまま語り続けていく。
「この世界の法則すら無視をして望む世界に塗り替える! ああ、多くの人間がこんなはずではない世界に涙を流してきた。しかし、こんなはずではない世界そのものを望む世界に作り替えられるのなら、すべての者が救われるのではないかね?」
世界の改変。歴史の改変。犠牲無くしては生きられぬ法則の改変。
もしも望む世界を作れるのだとすればそれすらも可能なのではないか。
スカリエッティはそう言っているのだ。
しかし、そこには一つ越えねばならぬ壁がある。
「しかし……その創り出される世界は望んだ世界なのですか?」
衛宮切嗣のレアスキル、固有結界は望む世界を創り出すものではない。
あくまでも与えられた、元々決まった世界しか創り出されない。
そうでなければ、時間の制御だけでなく治療なども自由に行っているだろう。
しかし、行っていない以上はやはり決まった世界が創られるだけだ。
「勿論、それは大きな問題だ。やはりこのスキル一つだけではどうしようもない。しかし、そこに別の何かを加えれば、例えば……願望を叶える性質を持ったものなどをね
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