二十二話:歪む世界
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のだ。
クロノが情報の真偽を判断したのも結局は信頼できる人物からの情報だったからというのが大きい。人間関係とは情報の伝達においても重要なのである。
「とにかく、今日はこのぐらいにしておこう。騎士カリムの予言となれば聖王教会の後ろ盾は確実。部隊の設立は表を納得させられる理由を適当に見繕えば確実だろう。はやて、君は肝心の部隊の人員の確保が仕事だ」
「分かっとる、カリムとの話でもそんな感じで決まったし。少々、無理矢理にでも戦力を入れてみせるわ」
「ははは……そこら辺の手腕は信頼しているよ」
自信有り気に胸を張るはやてにクロノは少し苦笑いしながら言葉を返す。
はやては不正行為などは基本的に行わない公正な人間に成長した。
しかし、状況が状況ならば平気で規則を破って人を助けたりする。
しかも、それを裁くに裁けないグレーゾーンに持っていくしたたかさを備えている。
故に最近では不本意ながらもタヌキと称されることも増えてきたらしい。
「うちの子達は確定やろ。ザフィーラはペット枠で入れられるし、シャマルは医療班って言い張ればいける。ヴィータとシグナムは最悪、一回辞めさせて……それは流石にあかんか。なら、暇そうなあの2人を裏技的に……」
ぶつぶつと言いながら歩き去るはやての背中にクロノはある男の背中を思い出すのだった。
子どもというものは親が似て欲しくないと思う部分ほど受け継ぐものだ。
ジェイル・スカリエッティはよく笑う。何がそんなに楽しいのかと思うほどに笑う。
だから、そんな彼がクローン体の入ったカプセルの前で笑っていても誰も気にしない。
と言っても、それが日常風景にまで染みついているのはウーノぐらいなものだが。
だが、今日はそんなウーノですら何事があったのかと気になるほどに笑っていた。
「くくく! そうか、私はなんという思い違いをしていたのか、くふふふっ!」
「ドクター、どうされましたか?」
「いや、ふふふ。今までの自分の思い違いが恥ずかしくてね、くくくく」
どこからどう見ても恥ずかしいという感情があるとは思えない姿に流石のウーノも首を傾げる。
そして、彼が一体何を発見したのかが気になり始める。
あのスカリエッティがここまでの喜びを見せるのだ。
それは並大抵のものではないことだけは理解できた。
「一体何を思い違いしていたのですか?」
「衛宮切嗣のレアスキルについてだよ。私は時間を制御する力だと思っていたが違った。通りで実験がうまくいかないはずだよ。本質を見誤っていたのだからね」
興奮が冷めやまないといった様子で早口で語り続けるスカリエッティ。
確かに、切嗣のレアスキルは時間の制御を可能とする能力だ。
だが、それは能力の一端に過ぎない
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