二十二話:歪む世界
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家族であることを選択した。
自らの意思で茨の道を選んだ。その自覚が八神はやてに鋼の意志をもたらしたのである。
「まあ、特にお咎めもなかったんやし」
「そういう問題じゃないんだが……終わったことに言うだけ無駄か」
「あはは、おおきにな。……そう言えば、なんで今日はクロノ君の家になんて指定してきたん? 別に本局の部屋でも良かったやろ」
はやてがそんな小さな疑問を零した瞬間にクロノの目が鋭くなる。
それに気づき、はやても真剣に理由を考え始める。
今日の話し合いでクロノはわざわざ自分の家を指定してきた。
よりリラックスして話し合うためという理由もあるが、真の理由は別にある。
それは重要な話を他の誰かに聞き取られる可能性を無くすために他ならない。
つまりは―――
「本局だと誰かに聞き取られる可能性が……高い?」
「……正解だ。今の君になら話しても大丈夫だろう。いや、話さないといけないか」
「そのために家に呼んだん?」
「それもあるかな。とにかく、話はもう少し続くよ」
椅子に深く座りなおしながらクロノが言う。
はやてもそれに倣うように、唾を飲み込みながら座りなおす。
ここまでは管理局員としての話だがこれからは違う。
八神はやてとしての話であり、クロノ・ハラオウンとしての話である。
「まず、単刀直入に言うとだ。衛宮切嗣についての大きな情報が……後ろ盾の組織が判明した」
「ほんまに! それってどこなん!?」
思いもよらなかった情報に食いつくはやて。しかし、クロノの苦々し気な顔を見てハッとする。
この話はそう単純なものではないのだ。しかも話の流れから考えれば管理局が関わっている。
そこまで気づいたところではやての顔から血の気が引いていく。
よりにもよって、その組織に養父が属しているとは信じられなかった。
だが、現実とは残酷なものだ。
「―――管理局だ」
血を吐き出すようにそう呟き目を伏せるクロノ。
真実を突き止めてから数年の時が経過したが、それでも認められることではない。
信じたものが偽物だった、自分の思い描くものとは正反対のものだった。
それはとてつもない絶望感となって彼の胸を締め付ける。
それでも、このまま何もせずにいることはできない。
前に進むと誓った以上それは許されないのだから。
「そ、それってほんまなん?」
「物的証拠はないが状況証拠としては確実だろう。何よりも、あれだけ派手に動いていながら管理局が足取りすら捉えられないのが証拠だ。なんなら一から説明していこうか?」
「い、いや、それは今やなくてええ。それよりも、これからどうすればええかを」
混乱しながらも今は養父のことよりも重要なことがあると冷静に思考
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