暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第80話 裏切りの母国
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 それは、物心付いた時からだった。


 まるで、自分が自分じゃない、と感じる事が多くあった。
 いや、表現としては少し違う。

 そう、……頭の中(・・・)何か(・・)がいるのではないか? と感じる様になったのだ。

 だけど、不思議と そう感じても、決して不気味だったり、恐怖を感じたり、そういった類は無かった。
 ……この様々な争いが続く広大な世界の中でも、なぜかは判らないが安心感さえも感じられる様になったのだ。

 その()の存在をはっきりと認識出来る様になったのが、《とある世界》でだった。声に耳を傾けた。そして、一歩先にある死の危険。死線。超えれば死。命の危険があると告げられても尚、……守る(・・)為に、立ち上がった。躊躇などせずに、踏み越えた。

 その先で待っていたのは、死ではなかった。――……絶望の中に照らす光だった。

 その世界ででは、当時 迷い込んだら最後。……生存率を考えたら、0%と言えるだろう。いや、今現在でも、言える様な状況にあったと言うのにも関わらず、その力を体現する事によって、生還を果たす事が出来た。


 その力を、彼は《神威》だと言っていた。



 《神》


 
 神の中の頂点。
 その存在は、この世界の全て。
 全知全能とも言えるだろう、この世の全てを司っている存在。一般的に、神を崇めているのがAL教である。そして、頂点を軸とし、更に下位へと続いていく。つまり、神の中にも階級と言う物は存在するのだ。


 そして、神威は、如何なる神をも畏れる。神の威を借る程の力とされているそうだ。


 その事実は 全ては終わった後に、知らされた事だったが……、それ(・・)を 初めて体現した時、確かに死を感じた。嘗てない程、死を感じた。

 冷たくなる身体。まるで 己が氷で出来ているかの様に感じる程だった。
 意識は、その凍てつく冷気と共に混濁してゆき、やがて消失した。まだ、倒れていられない。しなければならない事、守らなければならない人も傍にいたのにも関わらず、己の強さや意志の強さ、全てが関係ない。問答無用で世界から意識を遮断された。

 そう、今回と全く同じ事だった。




――相も変わらぬ、な。……主は。



 そう、意識が沈んでも、遮断されたとしても、この声だけは聞こえる。時空を、次元を超えて、伝わってくる。だから、この場所は世界とは隔絶された空間だと、無意識下で認識した。元いた世界とも時間の法則すらが違う事も、認識する事が出来た。


――己の命がいらん、と言うのか? 命は尽きれば全て アレ(・・)に還る。主も例外なくだ。……成り立ちに異常とも言える現象があり、様々な運命が巡り合わさったからが
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