第3章 リーザス陥落
第80話 裏切りの母国
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った事は、自分自身を快復させた事について、だった。
あの声は、確かに志津香の事を言っていた。
「以前、……志津香には言ったが、サテラと相対した時 完全体で神威を使った。あの時は まだ大丈夫だったんだが、短期間で二度目は無茶だったみたいなんだ。二度目は無い、と忠告もされた。――志津香がいたから、としか思えなくてな」
「そ、それは……」
志津香は、ユーリの言葉を訊いて、口ごもる。
ユーリは知らないみたいなんだ。あの声が教えてくれた救う方法を。安易に話して良い様な内容ではない、と冷静に考えられるのであれば、言える。
何せ、冷静になって、顔が赤く燃え上がる様に熱くなる事を只管我慢して、思い返せば……あの時は、志津香自身も正直危なかった。
生気とは、即ち生きている、生きる為のエネルギーだ。
それを分け与える為 己に降りかかるリスクも大だ。あの声が、神威が忠告をしてくれたが ユーリを助ける為に、まるでリスクの事は考えてなかった。
安易に取れる様な事ではない。死ぬ危険性だってあるからだ。
「――志津香も、危なかったんじゃないのか?」
「っ……」
ユーリの一言を訊いて、『こう言う時だけは鋭い』と思わずにはいられなかった。
「私は……そ、その、大丈夫」
「そうか? だが……何をしたんだ?」
「え、えと……そ、その……っ」
追求をしてくるユーリ。
それは、自分の事を心配して言ってくれている事だから、強引に言わない、終わらせる様な事が出来なかった……と言うのは、完全な志津香のいいわけである。
ユーリに自分がした事を正直に言って、その勢いで想いを……、以前の時のではなく、心の内を、とも思ったのだ。だが、恥ずかしさが相余って 中々決断を下す事が出来ない。
「その……ゆ、ゆぅ……」
だけど、言おう、言おうと、喉から出かかっていたその時だった。
『ここだよっ!!』
『ほ、ほんと? ヒトミちゃん!?』
『ユーリがいるってんなら、志津香だっているだろ?』
『うんっ。お姉ちゃんもきっと。私、判るからっ!』
外が騒がしくなってきた。それも1人や2人ではない。
『ユーリさんっっ!!!! 志津香(さん)っ!!!』
「お兄ちゃんっっ!!! お姉ちゃんっ!!」
「だいじょーぶかぁー? ユーリー、し〜づかー!」
「お楽しみ中、しっつれ〜いっ♪」
「大丈夫ですか? ユーリ。志津香さん」
これは、本当に、『何という事でしょう!』と驚いてしまう程、絶妙なタイミングだった。
一体、いつの間にここまでの人数が、この古びた小屋にまで来たのだろうか? と疑問に浮かべる程……、と志津香は思ってない。今は彼女は完全にトリ
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