第3章 リーザス陥落
第80話 裏切りの母国
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オレの親は4人。4人の両親がいる。……内、3人は志津香も知っていると思うが、親父の事は、知らない筈だからな」
「……うん」
志津香は、ユーリの言う『4人の両親』と言う意味は直ぐに判った。
自分自身の親も、そこに含まれていると言う事が。確かに、期間は凄く短かったけれど、ユーリにとっては親も同然だった。その事が嬉しくも思えたのだ。
「敢えて、呼ぶとすれば《神威》」
「かむ、い?」
「ああ。カミサマ、の神に、脅威の威。その二つを繋げた造語だ。オレの《リ・ラーリング》の様に、技能として 呼ぶとすれば そうなるかな。そう、オレは呼んでいるよ。……彼の名かどうかは判らないが」
軽く笑いながら続けるユーリ。
あの声を感じる事が出来るのは、特別な者だけだと言う事は訊いていたから。だけど、志津香であれば、納得をする事は出来ていた。志津香は 自分にとって間違いなく特別だから。
そして、神威に関して答えられる事、重要な所はただ1つだけ。話すべき所はそこだけ。
それは、明らかに人外の力。様々な力を超越した力、だと言う事。それは、魔人をも圧倒し、威圧させる。戦意を喪失させる程のモノだと言う事。その核心は、自分、ユーリ・ローランドではなく、全く別の存在だと言う事。
そして、その力を 極めて脆く、脆弱でもある人間である自分の身に窶す事の意味を。
「――……持病、と言ったんだったな。似たようなモノだな。あの力を乱用すると、身がもたない。そう言う意味だった。アレを使いこなすだけの器が、技量が、オレに備わってないのに、半ば無理矢理に纏ったから、その反動だ。その力は、志津香も見ての通りだ。アイゼルを追い返した。……多分、アイゼルも本能的に、何かを察したんだと思う。……サテラは 思い知るのが遅かったが」
ユーリは苦笑いをしながらそう言っていた。
だけど、志津香は笑えなかった。
「っ! そ、そんな無茶をして……っ、そ、それでゆぅが死んじゃったら、どうするつもり、だったのよっ!」
志津香の言葉を訊いて、ユーリは また軽く笑った。
そして、帰ってくる返事は 志津香もよく知っている言葉だった。
「オレがまだ、死んでいないからだ」
「ぁっ……」
ユーリの言葉は 志津香がアイゼルに向けて言った言葉と同じだったからだ。
「戦える力があるのに、……抗う力があるのに、それを使わず 死ぬのも、死なせるのも御免なんだ。それに、確かにその代償で死ぬかもしれなかった。最後、倒れる瞬間……は、流石に保っているのが無理だった。……寧ろ諦めかけていたかもしれない。が、その瞬間までは、無理だとか思いたくなかった。これはずっと自分で、決めたんだ」
ユーリの言葉は、志津香に
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