第3章 リーザス陥落
第80話 裏切りの母国
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そして、何よりも嬉しかった。
ずっと、ずっと……、ユーリは守ってくれた。守られ続けた。カスタムの事件の時も、カスタムでの防衛戦の時も。……今回の戦争でも。何度、守られたか判らない。貸し借りを言えば、返しきれない程だった。
多分、その想いは皆が持っている事だろう。目の前の彼には、沢山、沢山もらっているから。それを少しでも返す事が出来た事が 志津香は嬉しかったのだ。
ただ、その過程だけは……、自分の心の内に秘めるつもりだが。
「そ、それより!!」
志津香は、想いを勢いで振り払うように 話題を変えた。
「全部、全部話して! ゆぅが倒れる前に、言ってたわよね!? 『オレの持病』だって! もう、隠し事、しないで。そんな危ないのがあるなら、絶対に無理なんか、させないから! 黙ってる、話さない、って言うんなら 全員に通達して 否応なく 対処するからね!」
ずいっ! と志津香は ユーリに顔を近づけながら、そういった。かなりの剣幕だったから、まだ病み上がりと言っていいユーリ、本調子ではないユーリだったのだが、思わず仰け反ってしまった。
「それに! ゆぅが倒れた時 私に。……違う、まるで頭の中に直接話してくる様な《声》についても話して! それ、知らない、なんて言わないわよね?」
「っ……!?」
その事については、ユーリは驚いていた。
あの声が他者にも訊こえた事についてを。
「ゆ、ゆぅ?」
志津香は、自分で驚かせる? 威圧する? ように言っていた事を自覚していたのに、ユーリの反応に少しだけ逆に驚きを見せていた。
「志津香、あの声が訊こえたのか? ……訊いた、のか?」
「え、……ええ。だ、だって ゆぅを助ける事が出来たのも……その、声のお陰、だったし」
「そう、なのか……」
驚きをみせていたのだが、ユーリは徐々にだが、穏やかな表情に変わっていった。
その顔の意味は、志津香には判らない。だが、それでも 赤くなってしまう(見惚れてしまう)のは相変わらずだった。折角ごまかそうとしていたのだけれど、無駄に終わってしまったのだから。
「……なら、話さない訳にはいかない、か。……そうだな」
ユーリは、目を閉じると……ゆっくりと開いて話を始めた。
あの声について。自分の知る事を話す為に。
だが、《最後の一線》だけは――……、まだ話せない。
あの声は、物心つく時から聞こえていたと言う事。その正体については まだ正確には知らない、判らないが、神の類であると言う事。そして、人知を超えた存在であるという事。
「オレの親父から、《受け継がれた》と言うのが正しいかもしれないがな」
「ゆぅの…… お父様?」
「ああ。
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