第3章 リーザス陥落
第80話 裏切りの母国
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くなれば、なる程 相手の強さと言うものが判ってくる。それは、その者の強さが、戦闘力が身の内から外へと、現れる、それを感じ取る事が出来るからだ。
あの力は、また違う。――次元が、違う。戦闘力そのものが表面に現れる様な事はない。
仮に この状態で才能限界値を測ってもらうとすれば、人間のレベル屋、いや、例え最高位のレベルを司る神であっても測る事は出来ないだろう。
いや、それも違う。正確には、レベル屋にも、レベル神にも、その片鱗は掴む事が出来ている。ただ、それはあやふやなもので、通常では有り得ない程、変動しているのだ。だから……、誰もが有り得ないモノ、と認識している。
そう、《不明レベル値》 と言う形で、現れているのだ。
――主は、考えた事があるのか?
声は続いた。その声は、少しだけ 先程のものとは違った。
「……考え……?」
ただ、言っている意味がよく判らなかったから、聞き返していた。
判っていない事を、見越しているかの様に 声あ続いた。核心に触れる所を直ぐに。
――親愛なる者、愛しき者、力なくとも、懸命に生きようとする者。人間達。……それらを、慈愛を以て 己を犠牲にし、護った所で、残された者達の事を、主は考えた事があるか?
「………っ」
それを訊いて、ユーリから言葉が出てこないのは言うまでもない事だった。
自己犠牲。
今までの事を考えたら、自分にその気が無いとは思っていても、他人からみれば、説得力が無い、と言えるものだ。過去の戦いの中でも、命を張った。使った事はあるのだから。
だけど、本真では それは決して好む所ではない。
何故なら、残された者の悲しみを、痛みを知っているから。それは、誰よりも、知っているのだから。
――確かに、救う事は出来るだろう。が、主が死ねば 真の意味での安寧は訪れない。形だけの倖せ、それは 時と共に 霧散する。――同じく、時が痛みと悲しみを溶かすかも知れぬ、が。その程度で、あの者が あの者達が、時間程度で癒えるとは思えないのでな。それ程までに、だからな。
それは、威圧感のある声ではない。
これまでのどの時よりも、感情が強く篭っている、と感じた。
そして 上手く、言葉が出せなかった時。
――主は、あの男に宜しくと頼まれた。そして、あの娘の献身さに免じ、今回は、貸しだ。
視界が、目の前に突如 光が差した。一粒の光はやがて 大きく広がっていく。
――……目を、覚ませ。
その言葉を最後に、広がり続けた光は軈て、見える範囲、全てを包み込んだのだった。
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