第3章 リーザス陥落
第80話 裏切りの母国
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続け、そして手に入らなかった念願のモノ、云わば宝物と言っていい程なのだ。
だが、ハンティの言葉は覆らなかった。
「……評議員は、援軍の要請を多数決で棄却。ハズク皇帝も その決定を承認したよ」
ハンティのその言葉の内容を、核心部分を 読み取る事が、パットンには出来た。
そう、宝物と言っていい。国と言う大きな、どんな袋にも、箱にも 収める事は不可能な大きさの宝物を手中に入れる事より……、邪魔者の抹殺を優先した、と言う事。
ヘルマン評議会の多数派と皇帝の決定は、そう言う事、つまり、それを表明した、と言う他ならない。
「ば、馬鹿な……、そこまで、そこまで……、殺したい、と言うのか……? 親父、までも……!」
よろり、と身体が崩れてしまった。
玉座が、虚しく 一時の主を受け止めた。
それは、想像の範疇から外れる程に徹底した悪意。
皇子であるパットンの太い喉笛をも締め付けるかの様だった。
「………皇帝は、パメラとシーラが大事なんだ。パメラに言われれば頷くし、シーラを女帝にするためには……」
「が、っ……! お、皇子は私だけなんだぞ! 私が、妾腹だから……、お袋が、妾だからか!? だから、最初から、玉座を……!!」
激情が先走ってしまい、言葉が上手く形にならない。暗い目の前をみるのに、耐え切れなくなってしまい、分厚い掌で顔を覆った。
「奴らは……、親父は……、お、オレ、オレを……っ……!」
「……パットン」
いつもであれば、ハンティも パットンに喝を入れるだろう。
『皇帝になる男が、この程度で取り乱すな!!』
と叱りつけるだろう。
だが、ハンティはこの時ばかりは、言葉を見つけられなかった。
最後まで、言わないつもりだった。……パットンが 援軍を最後の最後まで当てにして、いた。それを希望に見ていた事から、もう言ってしまうしか無かった。
――誰からも愛される皇子になる様に……。
それは、30年程前だと言うのに……つい、先日の事の様に ハンティの脳裏には思い浮かべられる。その為に、最後の友の約束だったから、彼女なりに頑張ったつもりだった。
こんなパットンの顔を見たかった訳でも、みせたかった訳でもない。
ハンティは、何も言えず、痛ましげな目で 養い子であるパットンをただ、見つめるのだった。
〜リーザス城 ????????〜
謁見の間での悲観を知る事もなく、その意思もなく……ただ 恐ろしいまでに集中をしている男がそこにはいた。
「……………」
巨大な姿。その大きさはパットンと比べても見送れしない。だが、威圧感だけは類を見ない。――厄災、
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