第3章 リーザス陥落
第80話 裏切りの母国
[11/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ていた。
信頼出来る友達を失う。その苦しみは彼女もよく知っている。特に、トーマは 親友だと言っていい彼女を看取った男だから。……信頼、の二文字では表せられない程、の関係なのだから。
そして、更に確信がいった。トーマと言う 人類最強の称号を冠している豪の男を退けた解放軍側に、あの男がいる、と言う事を。
「何をしているのだ! トーマのヤツ……!!」
トーマが死んだ訳ではない、と言う事を訊いて、多少ほっとしたのは、パットンも同じだったが、それ以上に憤慨が湧き出ていた。握る拳にも力が過剰に入る。
トーマの実力は十分すぎる程、知っているのだ。だから、負けるはずが無い、とさえ思っていた。……つまり、本気でやらなかった、と パットンは判断したのだ。
「………ッ!! ノス、ノスは! どうした! 魔人どもは、何をしている!!」
声を上げ、周囲を見渡すが、そこにはローブに包まれた老魔人の存在はなかった。
「ぐ、ぐぬぬ……! この大事な時に……!!」
「い、いかがなさいますか…… 解放軍との兵力差も……」
伝令兵の不用意な一言に、パットンの両眼がかっと見開かれた。
「解放軍だと!? なんだ、その呼称は! 敵はリーザスの残党に過ぎんだろうが!!」
「は、ははっ!! 申し訳ございません!」
声を荒らげ、多少なり発散できたのだろうか、パットンは 肩で息をしつつ、冷静に頭を使う事が出来た。
「……とにかく、トーマには無理に仕掛けるな、と言っておけ。本国からの援軍を待って行動を……」
「援軍、だって?」
パットンの指示を訊いて、ハンティがそれを遮った。
「パットン、お前…… そんなものを当てにしてたの?」
「……どういう事だ、ハンティ。転送魔法陣で、援軍を送れ、と親父に使いも出した筈だぞ!」
「………………」
ハンティの沈黙は、深く……そして、重いものだった。
それを見たパットンは 表情を更に強ばせた。
「何故、何故黙るんだ…… ま、まさか……届いていない、と言うのか……?」
本来の快活な気性とは裏腹に、ハンティは躊躇い、そして口篭ってしまう。だが、それでもパットンの縋る様な視線には耐えかねたのだろうか、ゆっくりと口を開いた。
「……きやしないよ。援軍なんて」
「な…………!?」
その形のない、落雷に撃たれて、パットンの頭の中は真っ白になった。その一撃は、修行時代、ハンティに撃たれた雷よりも遥かに、内部に撃ちつけるものだった。
だが、それを認めたくないのだろう。パットンは声を荒らげた。
「ッ、ど、どういう事だ! バラオ山脈を超える好機だろうが!」
そう、リーザスの豊かな国土は 厳しい気候のヘルマンにとって、長年欲し
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ