3部分:第三章
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第三章
それがそのまま家賃になった。その額はだ。
かなりのものだった。彼女はそのことにほくほくとしていた。
そしてその妖怪達を周りに置いてだ。あのテーブルに座って両親達に話す。家はすっかり妖怪達のアパートと化してしまっている。
「どう?いいでしょ」
「確かにお金は入るがな」
「それはね」
両親はとりあえずそれはいいとした。
だが、なのだった。二人は憮然として娘に言う。
「この状況で平気か?」
「どうなの?」
「平気って何が?」
娘は平然としてだ。妖怪達の差し出すそのお菓子をむしゃむしゃと食べている。その姿はまさに大家と呼ぶに相応しいものだった。
「何がなの?」
「だから妖怪だ」
「妖怪に囲まれてよ」
「何度も言うけれど平気よ」
本当に平然として話す。
「全然ね」
「お金が手に入ればいいのか?」
「それでいいの?」
「お金は欲しいけれどそういう問題じゃないわ」
「何っ、違うのか」
「お金じゃないの?」
「お金は二番よ」
しっかり大事だとは言っている。この辺り妙な意味でしっかりしている朋子である。
「けれど一番はよ」
「一番は何だ」
「何か何処かの特撮みたいなやり取りだけれど」
「一番は。賑やかでいいじゃない」
笑っての言葉だった。
「こうしてさ。大勢で色々な面子がいたらね」
「それか」
「それでだっていうのね」
「そうよ。お化けだからって怖がることもないし」
少なくとも朋子にそうした感情はなかった。
「そうでしょ?怖がることもないじゃない」
「相手は妖怪なのにか?」
「それでもなの?」
「そうよ。何度も言うけれど取って食べたりしないじゃない」
それがないからだというのである。朋子はそれでいいというのだ。
「じゃあ。何の問題もないわ」
「何もか」
「ないの」
「そう、大体よ」
ここで朋子は両親にこんなことを述べた。その述べることとは。
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