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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
一の刻・少年期編
第六話「廃城の戦い」
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しておるからの、王座に着く者の嗜みと言う物じゃよ。坊やのレベルなら“バギ”が使えるだろう』
「バギ?バギってあの手から風がビューンって飛んでいくヤツ?やったーー♪」

レヌール王に調べてもらい、“バギ”が使えると知ったリュカは喜んで走り回るが、そんなリュカを見て面白くないのがビアンカである。

「王様、私は?私は何も呪文は使えないんですか?」
『落ち付きなさい、君もレベルアップしているからね。君は“メラ”と“マヌーサ”が使える様だ』
「メラとマヌーサ?」
『メラは炎を飛ばす呪文、マヌーサは霧の中に幻覚を見せる呪文だ』
「炎を飛ばす?……いいわね、ソレ。今の私に丁度いい呪文だわ」

ビアンカはちょっと危ない眼をして「くっくっくっ」と嗤う。
そんなビアンカを見てレヌール王は後頭部に大きめの汗を流し、リュカは涙目で怯え、王の体にしがみ付いていた。

『あ、あの娘は何かあったのかね?』
「オバケにさらわれて、お墓の中に閉じ込められたんだ」
『な、なるほどな…』
「さあ、リュカ。先を急ぐわよ」
「は、はひっ!」

先を急ぐと言うビアンカの言葉にリュカは怯えていたのか少し返事を噛んでしまう。
振り返ったビアンカの目が一瞬赤く光ってた様に見えたのだから仕方ないであろう。

「じゃあ王様、少し待っていてね。すぐにオバケ達を倒して王様も王妃様も助けてあげるから」
「僕もがんばるよ!」
『ありがとう子供達よ、私も力になりたいのだが命無きこの体では何も出来ぬ』

すまなそうに首を垂れるレヌール王に「気にしないで」と笑いながら答え、リュカとビアンカは城の中を進んで行く。
その間も襲い掛かってくる魔物達を撃退しながら先を進むと今迄で一番立派な扉を見つけた。

扉を開き、中に入ると玉座に緑色にくすんだフードを被った何者かが座っていた。
その者から感じる気配は今までの魔物とは明らかに違い、リュカとビアンカはこいつが王と王妃を苦しめている元凶だと直ぐに察した。


《親分ゴースト》

ゴーストとはいってもこの男は魔物では無く、れっきとした魔族である。
魔族、それはこの人間界とは別の次元にある魔界の住人でその保有する“暗黒魔力”を用いて魔物達を操る事が出来る。
この城に住み着いている魔物達もこの親分ゴーストに操られているのであろう。


「アンタが王様達を苦しめている一番悪い奴ね!」
『ひひひひひひ、だとしたらどうするね?』
「僕らがやっつけてやる!!」
『おお、勇ましい勇者様だ。ところでお腹は空いてないかい?』
「お腹?」

言われてみれば二人は武器や防具は用意していたが、夜食になる食べ物を用意しておく事にまでは頭が回らなかった。
そして、その事に気付いた途端二人のお腹は「ぐ〜〜」と鳴った。

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