第十一話
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も日本ではなく、アメリカで生まれたなら違う人生を歩んでいただろう。アメリカは、銃社会として知られる程に銃の規制が先進国の中でも緩く、一般市民でも簡単に銃を所持できる。あっちでは情勢にもよるが、拳銃の早打ちや長距離射撃の成功で、市民から高い歓声を受けて、あこがれの的となる。実際にそう言った名射撃手が、アメリカの雑誌の広告に載って一般人なら誰もが知るほどの有名人となる。銃器メーカーも、そのように有名となった射撃手に新作銃を扱うモデルになってくれとオファーが来ることもある。平野の腕前なら、アメリカで活動すればあらゆる銃に関する栄光がもたらされただろう。
だけど、日本で銃の扱いが上手いから誰からも尊敬される事はない。先ず、日本は超がつく程に銃規制が厳しい国だ。無論、銃に関する雑誌もあるにはあるが、そのような趣味の持ち主は日本では大半が異端扱いだ。
まあ、そんな日本では異端な趣味のお蔭で、今の平野は俺達のチームでも遠距離戦闘員としての戦力となるほど貢献しているのだから、人生とは何が起こるか分からないものだ。
「でも、色々とすっきりしましたよ。悩みや思った事を全部言えました。何より僕の銃の腕を褒めてくれましたし」
先ほどまで沈んでいた表情もだいぶよくなり、笑顔が戻った。
「銃しか特技がありませんけど、それを認めてくれたから、僕は嬉しいですよ」
「そっか……」
今まで明確な目的がなかった平野に、現状の目的が定まった。平野は、分かりやすい程に高城に惚れている。惚れた女である高城や自分を認めてくれた小室達のために、銃を扱うと言う目的が定まったのだ。昨日のチンピラ達に躊躇なく銃をぶっ放したのも、小室や高城といった自分を認めてくれる仲間がいたからこそ撃った事だ。
そう思っていた時に、何やらぞろぞろと屈強な強面の男たちが、俺達の所に来る。
「平野、警戒態勢だ」
「……!?」
俺がぼそりと小声て、平野に呟く。平野も状況が理解できたようで、腰に装備していたグロック17に手を伸ばす。俺もいつでも撃てるように、ハイパワーに手をかける。
服装は全員統一されており、旧日本軍の士官服を思わせる制服を着ているとなると、高城の親父さんの部下達だと理解できる。
「君達が沙耶お嬢様と共に行動していた少年達かね?」
「ええ、そうですが……自分達に何か御用ですか?」
「私は吉岡という。高城壮一郎様の部下だ。無駄な話はしない。単刀直入に言おう。君達が所持している武器を全て我々に預けてくれないか」
俺は、やっぱりこうなると思った。今の俺達は『大人』から見れば大量の銃や弾薬を所持している危険な『子供』にしか映らない。
しかも、こんな世界が崩壊した危険な状況で、このグループを統括している組織の一員なら、俺達
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