第3章 黄昏のノクターン 2022/12
35話 陰と闇の狂騒曲
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判断した彼等は、それでも弓兵だったのだ。攻撃手段である射撃を行使するまでに踏まねばならない予備動作を、コルネリオが見逃してくれるわけなどなかった。
左手に納刀された《朔》を握り、その驚異的なAGIで一歩目の踏み込みから最高速度に達したことにより、コルネリオは容易く斬撃を繰り出す。
初撃、瞬く間に至近距離へと踏み込んだコルネリオに慄いた一人のフォールンを目敏く狙い、そのガラ空きの胴を横薙ぎに両断する。
弐撃、弓を引き絞ったエルフの腕に鞘を当てて射線を逸らしての誤射を後方のフォールンに中て、生じた隙に容赦なく踏み込んでは袈裟に斬り伏せる。
参撃、誤射によって肩口を射抜かれたフォールンの最後の抵抗である短剣を胴ごと斬り飛ばし、それが一つの作業であったかのように、何の感傷も抱かせない冷淡な所作で漆黒の刀身は鞘に納められた。
「………さもなくば、少し痛い目を………まあ、言ったところで無駄か」
青い残滓が宙に融けていくなかで、おどけるように肩を竦めつつもコルネリオは水路側に向けて手招きを見せた。
上陸の指示を受け、大型ゴンドラの隣に自前のゴンドラを停泊させつつ、ゴンドラから降りることとする。
「ふむ、こうも敵意を剥き出しにされては、建設的な対話は望むべくもないというものか」
「………先に殺したのはアンタだぞ?」
「ならば、先に飛び道具を使ってきたのは彼等だ。彼等は加害者、我々は被害者。加えて彼等の横暴で損害も被った。よって、大義は我々にあるというものだ」
凄まじく一方的かつ横暴な持論に聞こえてしまうが、否定できない内容だった。加えて、現状におけるコルネリオの利害観念はロービア全体に関わるものなので、腑に落ちない思いはしないでもないものの、表立って発言することは避けるとしよう。
「………それに話の通じる相手であれば、端役風情の独断でいきなり船頭を拘束するような真似はしないだろう。仮にも取引相手だったんだ。私であれば上に確認なりするが、それさえ無かったことを考えると、他者との接触を好ましく思っていないと判断することが最も自然なんだ。船頭を拘束する際の通告を聞く限りでは、どうも彼が無能であったとは思えないからね」
「つまり、造船の現場を誰かに知られたくなかったというのか?」
「順当に考えればそうなるだろう。彼等からしてみれば、我々の来訪はただ目障りなだけだったのかも知れないが、むしろこの状況は望ましい。相手の頭数を減らせた上に、しかもそれを悟られなかったのだから」
コルネリオの言う通り、船着き場の哨戒任務に就いていた小隊の全滅については察知されていない。潜入という観点で評価すれば、それは理想的なスタートとも言えるだろう。
「君達から提出され
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