第6話 外出
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て原因不明かな」
運ばれてきた患者には目立った外傷はなく、検査をしても突き当たるモノがなくお手上げ状態に近かった。
そしてそれは、この一週間に入ってから増加している。
症状が回復した者はいない。
ウイルスや細菌による伝染病も検査線上に浮かんだが、肝心のウイルスおよび細菌は発見されず二次感染も起きていない。
そこで病院では意識不明の原因が脳にあると考えて、外部の大脳生理学専門チームに依頼し調査してもらうとのこと。
御坂達は医師から受けた説明をサソリに話した。
「ただの意識不明か」
「そうなのよね。なんか心当たりある?」
「一つだけな」
とサソリが言ったところで病室の引き戸が開けられて、白衣姿の女性がサソリの目の前に現れた。
「お待たせしました。院長から招聘を受けました『木山春生(きやまはるみ)』です」
ボサボサに少し伸ばした髪に隈が縁取っている目元をしたクール系の女性だ。
「私は木山春生。大脳生理学を研究している。専攻はAIM拡散力場、能力者が無自覚に周囲に放出している力の事だが……」
「風紀委員(ジャッジメント)の白井黒子です」
「御坂美琴です」
一応、名乗られたので自己紹介をする。
「……」
サソリは無言のままその場を動かずに動向を伺っている。
会話には加わらない。
「あの……それで何かわかったでしょうか?」
病院の医師がなんとも不安そうに尋ねた。
「今の所は何とも言えません。採取したデータを持ち帰って研究所で精査するつもりです」
「データならこちらから送る事もできましたのに、ご足労かけて申し訳ありません」
「いや、学生達の健康状態が気になりましたので」
説得力のある言葉使いに白井と御坂は安心した態度を見せる。
そこで白井は気になっている事象を思い切って訊いてみた。
「あの、お尋ねしたい事がありまして」
そこで「幻想御手(レベルアッパー)」について質問を飛ばす。
「ネット上で広まっている噂なのですけど」
「それはどういうシステムなんだ?」
「それはまだ……」
「形状は?どうやって使う?」
「わかりませんの」
やれやれと言った感じで木山は顔を歪ませた。
「それでは何とも言えないな」
「そうなのですけど……実は植物状態の学生の中に……」
「続きは場所を変えて聞かせてもらおう。ここは暑い」
昨夜、謎の停電により冷暖房が使えなくなっている。
ジワっとる熱に汗を流しながら木山は提案した。
サソリは木山の話しぶりから一つだけ確信したことがあった。
あの女が言った言葉の中に「嘘」があるということだった。
ふと腕組みをして思案するように首を傾げると
「そうだサソリもついて来る?」
と御坂がニコニコしながらゴミ箱に捨てたはずの外出規約を持ってサソリに広げて見せた。
「うぇ」
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