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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十三話 会見
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所は無いと思います」
「なるほど、そうですね」
ヤン提督が素直に頷いた。
「新しい都で新たな帝国を創る。帝国人だけじゃありません、フェザーン人、同盟人にも参加して貰います」
凄い、呆然としていると元帥が僕に視線を向けた。悪戯っぽい光が有った。
「……トリューニヒト前議長も参加しますよ」
ヤン提督と同じ黒い瞳、そして輝いている。自分のやっている事に誇りを持っているのだろう。羨ましいと思った。
「如何かな、ミンツ君。君もフェザーンに来ないか? 新しい国創りに参加したいとは思わないかな?」
「え、でも僕はまだ子供で……」
どぎまぎしながら答えるとヴァレンシュタイン元帥が朗らかに笑った。
「帝国は三十年かけて国創りを行う。いや実際にはもっとかかるだろう。統一が出来るまで三十年だ。君はずっと子供なのかな?」
「そんな事は有りません」
ちょっと声が大きくなった。元帥がまた朗らかに笑った。なんか上手く操られている様な気がする。頬が熱くなった。
「フェザーンで勉強しながら世の中の動きを見る。そして君の力を試してみないか?」
行ってみたいという気持ちは有るけどヤン提督と離れるのは……。
「ヤン提督と離れるのは不安かな?」
「ええ、そうです」
どうして分かるんだろう。僕ってそんなに表情に出るのかな? ちょっと悔しい。
ヴァレンシュタイン元帥がヤン提督に視線を向けた。
「如何です、ヤン提督。貴方もフェザーンにいらしては、……歓迎しますよ」
「……」
「同盟を離れるのは気が引けますか?」
「多少はそういう気持ちは有ります」
幾分戸惑いながら提督が答えると元帥がウンウンという様に頷いた。
「帝国と同盟は人的交流を積極的に図ります。その中には官僚達も含まれる。同盟の官僚達には帝国での国造りに参加してもらいますし同盟に行った帝国の官僚達には同盟の社会制度を十分に学んでもらいます。そうする事で見識を高め新しい国造りに役立ててもらう。それを知れば同盟市民も新たな帝国に不安を感じずに済むと思うのです」
声が明るい。ヴァレンシュタイン元帥は謀略家のイメージが強いけど目の前にいる元帥からは誠実さが強く感じられた。それに偏見とか傲慢さがまるで感じられない。なんか不思議な感じだ、こんな人が帝国に居るなんてちょっと信じられない。
ヤン提督は如何するんだろう? こんなに一生懸命誘って貰ってるけど……。ヤン提督を見た、提督は表情が無い。多分心を押し殺している、何を考えているんだろう。ヴァレンシュタイン元帥が僕をフェザーンに誘ったのもヤン提督を勧誘する為の筈だ。ちょっと悔しいな、僕もこんな風に誘われてみたい。
「ヤン提督、外に居るだけでは何も変わりませんよ。内に入ってこそ変えられるのです。評論家で満足出来るなら外でも良い
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