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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-35
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もやもやとした気持ちにそうつけた。
 一家離散という家族に埋めようもない亀裂を生じさせて、自分と自分が認めた人だけがいればいいという極端な自己中心的な考えを持つ姉。それでもやはり彼女は妹には優しかったのだ。どうしてああなってしまったのか……何度も考えたけど、箒には答えは出せないまま時間だけが過ぎていった。


 フラフラと何も考えないで二人の方に歩き出す箒。そんな箒に気付かずに後ろからついてくる一夏。その距離はあっという間にほとんどなくなった。そして、箒が束に話しかける。


「姉さん」
「…………どうしたの?」
「姉さんは、ISというものを作って、どうしたかったんですか?」
「……そうだねぇ、どうしたかったんだと思う?」


 箒の質問に空を見上げて遠くを見る束。それから質問に質問で返した。普段眠そうに薄められている彼女の目は大きく開いていて、その瞳に一夏は吸い込まれるような感じがした。
 彼女の髪と同じ色の薄紫色の瞳。その瞳の中に広い宇宙を錯覚させられた。そして頭の中にある思い出が流れる。


 ――星が好きなんだ。
 まだ小学校に入る前だった一夏に話した束の夢。彼女もまだ中学生で大雑把なものでしかなかったけど、強い憧れは感じられた夢。まるで何年も待ち続けているような、恋に恋しているようなそんな強い気持ち。そんな束の夢にまだ幼かった一夏は胸がときめいたのだ。


「――――宇宙」
「なんだよ、せっかく箒ちゃんに答えさせようと思ったのに。まあいいけど。そうだよ、いっくんの言うとおりに宇宙(そら)に行きたかったんだ」
「……どうして」
「夢だったから。夢を叶えるためにISを作ったんだ」
「…………っ!! それじゃあ、姉さんは自分の夢を叶えるためだったら、自分の家族さえも犠牲にするんですかっ!?」
「そうだよ、何言ってるの? そんなの当たり前じゃん」


 即答だった。箒は何も言い返すことが出来なかった。
 そんなのは間違っている。そう言ってやりたい。だけど、何でかわからないけど、出来なかった。


「束さんは家族の存在のありがたみが分かってない!」
「はあ? 家族なんて邪魔なだけじゃん。それにだってあんな奴らもう家族じゃないもん」


 そう言って束がどこからか取り出したのは一枚の紙。一夏が紙を受け取ると束は続けた。


「それが今の私の戸籍。何ら間違いのない正真正銘の戸籍」


 一夏は開いてしまったことを後悔した。こんなことが本当に有り得るのかと目を背けたくなった。
 呆然とする一夏の手元から箒は紙を取る。そして目を通した。


 篠ノ之束。女。二十四歳。家族……なし。親族……なし。
 居住地こそは篠ノ之神社になっているが、それも表向きで実際は不明になる。そ
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