第12話 武神VS冬木の虎
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進して来たのだ。
「先程とは違いある意味正面からなんて如何したん――――何!?」
気配察知を続けていたからこそ気付けたことだが、真逆からもう1人の大河遅れて迫って来た。
この事に、百代は新たに軽く驚いた。
闘気だけで作られた残像であれば砂嵐の壁を乗り越えられない。
つまり本人とは別の大河は、砂嵐の壁を突き破れる強度を持った実態ある残像と言う事に他ならないからだ。
(遅れて来たと言う事は最初が残像?)
緊急的にそう判断した百代は、遅く来た方の速度に警戒してか、最初の大河を無視した。
しかしそれが間違いだった。
『ガオぉおおおおーーーー!!!』
「なぐっ!!」
此処で一番最初に来た大河から、冬木の虎の大咆哮が百代の聴覚目掛けて炸裂した。
今週の早朝時に見せたあの時とは違う。これこそ真の『冬木の虎の大咆哮』である。
如何やら大河はある種の賭けとして、自分である本体が最初に百代目掛けて突っ込んで行った様だ。
そして勿論この機に畳掛ける。
精神状態と体の中の気の廻りを狂わされた百代を、宙へ向かって蹴り上げる。
「クッ」
「まだよ!藤村流夜叉落とし!」
自分で蹴り上げて自分でたたっ斬りながら突き落とすと言う、かなり乱暴かつ雑な技だ。
しかしそれもそのはず、藤村流と言うのは藤村雷画の全盛期時代に今では元武神と呼ばれている川神鉄心と互角の戦いを繰り広げた折に、当時は我流剣術・空手と呼ばれていた雷画の戦闘技術も鉄心に通じるのであれば流派を名乗っていいのではと言う声から後押しされて、今では藤村組の組員の戦法はほぼ全員藤村流である。
しかし雷画からすれば別に武を極めようとしたのではなく、あくまでも手段に過ぎないので今でも洗練されずに雑なままなのだ。
けれども、技は雑であるが威力効力が高いのも確かな事実なのである。
故に大河は、この場でこの技を使う事を選択した事に躊躇いは無い。
だからといってこの技が早々決まると限りはしない。
「川神・・流・・・大蠍撃ちぃ!」
百代は全身の気の廻りが不安定でありかつ、宙に浮いている足場も無い状態で、強引に体を動かして大河の技を迎撃した。
「む!」
「くぅっ!」
しかし強引である事には変わらないので、技の威力も弱くなり、気が込めてある大河の足裏で受け止められた。
けれども、大河の技の威力を落とす事にも成功した。
そうして互いに決まり手のないまま着地したが、その時点でも百代は体をふらつかせていた。
気の廻り自体を狂わされたので、平衡感覚は未だに狂ったままだ。
そんな百代とは対照的に、大河は未だに体の何所も痛めてはいない。
勿論、未だにチャンスは続いてい
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