舞台裏がありました
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某月某日、と言っても――――――数年後にSAOが稼動開始するある日の事だ。
俺は結城明日奈の母方、つまり明日奈の爺さんと婆さんの葬祭関係に出席していた。
関係者席に座る明日奈を確認したが、誰とも目を合わせ様ともせず、失礼の無い程度に俯いている。
続け様の葬式はボロボロに泣いて酷い物だったが、今は多少マシな方だ、今回も顔を合わせてないし思い出される心配はなさそうだな。
線香に火をつけてその場を後にすると、会いたくない人間の一人と出くわした。
「やあ、君も来てたのか、遠い所までご苦労だね」
嫌味ったらしい口調で神経を逆なでしてくる変態メガネ野郎、須郷伸之。
原作で明日奈の家族とは家族ぐるみでの付き合いがあると言っていたが、こんな所にまで出張ってくるなよ。
「遠いのは須郷さんも同じでしょう?」
「近い将来、身内になる関係者の行事だからね、結城の系列だ、それくらいの融通は効くよ」
まだ中学生の明日奈をもう自分の嫁扱いですか。
「そうですか、こっちは今回で杉の買い付けが最後になりますからね、出張扱いですよ」
明日奈の爺さんが所有していた杉並木を管理するのが目的だけどな。
「杉だけでなく、あの山の土地や家まで購入したそうじゃないか、あんなボロ屋なんて潰してしまえば良いじゃないか」
「田舎でゆっくり出来る場所が欲しくて、ビルと排気ガスに囲まれていると、どうもね」
良く聞こえる耳を持っているな、いや、明日奈関連や結城の情報を細かくチェックしてるだけか。
大事な金の生る木だもんな。
「僕はまたあんな家でも買い取って、明日奈君に対して粉をかけてるのかと思ったよ」
「まだ中学生でしょ? 流石にそれはちょっと…………失礼」
嫌な視線を感じて顔を上げてみれば、須郷が俺を睨んでいた。
ガチで睨むなよ、ド変態が。
「――――ところで、君に是非とも融資して欲しい話があるのだが、一枚噛んでみないかい? 悪い話じゃない」
「前から言っていたバーチャルリアリティへの研究費ですか? 結城の関係者としては充分出資してきた筈ですけど?」
「今回は僕への個人的な融資さ、短期間で確実なリターン間違い無し、乗ってみないかい?」
レクトに個人的なフルダイブ研究部署を立ち上げるから資金を提供しろってか、
こいつから見れば俺が結城の金を好き勝手出来るのが羨ましいのかもしれんな。
いや、こいつ外面だけは完璧だからな、羨ましいのではなく、腹立たしいのかもしれん、それとも見下してるのか?
「具体的なメンバーは? ナーヴギアを開発したメンバーから引抜で?」
「まあ、そんなと
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