舞台裏がありました
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なの、ごめんなさい」
「いえいえ、二十年先、三十年先にでも出来たら良いなって話ですよ、その為の投資をさせて欲しいのですが?」
「でも、まだ私の研究は形にもなってなくて、机上の空論なんですよ?」
「実現性は高いんでしょう? 他に医療方面でフルダイブ技術を伸ばそうって言う人も居なくてね。
――――此処で途絶えさせる研究ではないと思ってるし、少しでもお手伝いさせて貰えませんか?」
「…………今は他にやる事もあって、私自身の手が空かない状態なんです。
他の人に研究を引き継いで開発を進めるにしても、何年先になるか…………」
「それでも構いませんよ、こちらも出来る限りの融通はさせて貰いますから」
「…………でも」
「――――良いじゃないか、彼もそれなりの覚悟があるんだろう? 何事も始める前から諦めては前には進めない」
今まで成り行きを見守っていた茅場が口を開いた。
「…………理論上の見直しや、試作機の破棄、他にも莫大なお金を使う事になるんですよ?」
「被験者が亡くなった場合の遺族への見舞金も含めて、覚悟の上ですよ」
「……………………暫く考えさせて貰ってもよろしいですか?」
「――――ええ、連絡は何時でもどうぞ、連絡先は変わってませんから。
いきなり話を持ちかけてしまって、すいませんでした」
「いえ、――――熱意は充分に伝わりました、伊織くんがこんな人だとは思っても見なかったわ」
「普段はのんびりやってますからね、フルダイブシステムへの投資も結城の家をこんな感じで廻って集めましたから。
ワンプレイが高額にもかかわらず今じゃ全国のアミューズメントや海外にまで展開を伸ばし、長蛇の列。
おかげで結城の家から動かせる金も大幅に増えましたよ。
――――しかし今回の家庭用フルダイブシステム、ナーヴギアとその後継機への投資を見送らせてもらいました。
小型化して一般化させるよりも、次のステップを目指すべきだと」
「それが…………医療関係だと?」
「今は希望的観測でも、実現出来ないと決まった訳じゃない――――おっと、そろそろ時間なので、俺はこれで」
残ったコーヒーを飲み干して席を立った。
――――後日談になるのだが、この後正式なOKの返事を貰い、
資金援助方面から横浜の病院に話をつけて『メディキュボイド』の試作機を置く事になった。
病院側に迷惑をかけないように電源には専用の小型原パッ――――げふんげふん。
まぁ、院内に施設を二箇所ほど増設して、正、副、の電源も確保しておいたし、パワー不足になる事はないだろう。
そして…………SAOのサービス開始はそこまで来ていた。
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