舞台裏がありました
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」
「…………私に答えられる事なら」
店員が注文したコーヒーを持ってきたので資料を片付けてテーブルのスペースを空ける。
コーヒーカップとガムシロップ、レシートを置いて店員はカウンターに戻った。
「さて、お話の続きと行きましょうか、このシステムで体感時間の加速は可能ですか?」
「体感の加速?」
「そう、システム内で過ごした時間が、一瞬の出来事で、まるで夢を見ていた状態にする事は可能ですか?」
「流石にそれは不可能ね、システム側で時間を操作しても、利用者には周りの映像が倍速で流れるだけよ」
「それは利用者の脳が起きているからでは? 一度利用者の脳をスキャンしてシステム上で行動をさせた後、
脳に夢と言う形で書き込む事は可能ですか?」
「――――残念ながらそれも不可能よ、脳をスキャンするにしても、
現在の設備とシステムでは電子レンジで脳を焼き切る形になるわ」
「全く新しい設備ならどうですか? 今のナーヴギアだって前は冷蔵庫の大きさ、その前はもっと大きかったんでしょう?
初めは巨大な施設から一歩も歩けない状態でも、システムを完成させてしまえば持ち歩き可能なレベルまで軽量化出来る筈だ」
「…………流石に、そこまで行くとそれぞれの研究分野からスペシャリストを呼び集めて、長年研究をしない事には…………。
何より、そのシステムや施設を安全に運用できるか、情報も何もかも足りないわ」
「…………そうですか、それならその日が来るまで、個人的な投資と言う形で良いですか?」
「あの、何故そこまでフルダイブシステムに興味を?」
「…………まあ、個人的な理由なんですけどね」
俺の携帯端末から画像を一枚表示して神代さんに見せる。
画像は女の子二人とその両親の家族写真だ。
「――――この家族写真は? 良く似てるし双子の姉妹かしら?」
「その家族とは何の係わり合いも無いのですが――――母親が出産時の輸血から感染症になってしまって、
気付いたのは家族全員に感染した後で、完治はしないまでも経過は良好でした――――最近までは」
「…………合併症が?」
「ええ、近い内に家族はクリーンルームに行く事になると思います」
「それがフルダイブシステムにこだわる理由ですか?」
「そんなところですね、この家族には影からバックアップする形で関わっているので、俺の事は知らないと思いますけど。
まあ、フルダイブシステムでゲーム内の時間が加速可能になれば、
肉体の苦痛から開放されて、家族で過ごす時間も増えるんじゃないかと、そんな事を、ね」
「…………今出来るのは肉体からの苦痛が脳に届かないようにする事だけ
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