舞台裏がありました
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男が現れた。
「失礼だろう、何があった?」
「いえ、――あの…………」
相当言い難い話の様で、俺をチラリと一瞥した顔には『このまま須郷を連れ去っても良いか?』と書かれていた。
俺が何も言わず、『どうぞ』と手を向けると、男は須郷に耳打ちをした。
「――――っ、クソ! こんな時に――――すまない、少し急ぎの用ができた、また近い内に打ち合わせをしよう」
慌てて須郷が立ち去った。
所々しか聞こえなかったが、海外のスポンサーがどうのとか言ってたな。
ナーヴギアで人の精神や記憶を書き換える理論を元に金を集めてるだろうから、矛盾点とか重箱の隅をつつかれたんだろう。
「仕方ない、午後は丸々時間を空けちまったし、少しフラついて帰るか」
昼飯を食い損ねたので小腹が空く、コンビニでも探して適当に抓むとしよう。
そんな事を考えていると、少し良い匂いが鼻を掠めた――――レストランもあるのか此処?
匂いを辿って暫く歩くと巨大なエントランスホールの片隅にカフェがあった。
昼時だと言うのに二人しか客が居ない、研究員は食事時間も不規則なのかね?
席に近付くと客のシルエットに見覚えがあることに気付いた。
「神代さん」
「――――伊織くん? どうして此処に?」
「時間があるなら相席しても構わないかな? 少し話して置きたい事もできたし」
「ええ、大丈夫よ」
「それじゃあ、飲み物を頼んできます」
店員にコーヒーを注文して席へ戻った。
「ところでこちらの男性は?」
「――――紹介するわ、先輩の茅場晶彦さんよ、彼は――――」
「ああ、フルダイブシステムの発案者、そして研究員ですよね、説明会で何度か」
「…………私の方も覚えています。研究に莫大な投資をしていただけたそうで」
「いえいえ、今回もスポンサーになれって、さっきまで須郷に呼び出されてね、ウチの家系ってそれなりに金だけはあるし」
「伊織くんの家は京都でも有名どころでしょ?」
「本家の方は、ですけどね。俺が使える金なんて微々たる物ですよ。
――――それで、先ほど面白い資料を手に入れまして。須郷は課金制のゲームにするみたいですけど」
須郷から貰った神代凛子の研究レポートをテーブルの上に広げる。
「――――これは私の研究!? 一体何処から!?」
「さっき須郷に貰いました、サポートにしたいから引き抜きたい人材だと言ってね」
「…………また勝手に…………申し訳ないけど彼のチームに入る予定は…………」
「別にそれは構いません、いくつかこの研究について聞きたい事があるんですが、少し時間もらえますか?
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