6部分:第六章
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ったとはいえ今には関係がないのですから」
「そうだな。しかし」
「はい、それも妖精にとっては関係のないこと」
男が言いたいのはそれであった。
「妖精には妖精の決まりがありますし」
「それもまた理不尽だな」
副署長はその言葉を聞いて顔を顰めさせた。
「それで殺されるのもまた」
「確かにそうですがそもそも世の中とは理不尽なもの」
男の言葉は今度は哲学的になった。
「ですからそうしたこともあるのです」
「理不尽な中での事件か」
署長はそこまで聞いてまた白い息と共に呟いた。
「何かな。それを言うと」
「はい、どうしようもありませんが」
「しかし事件は解決されねばなりません」
副署長も言ったところで男が述べた。
「その理不尽をできる限りなくさなければ」
「それが我々の仕事か」
「その通りです。少しでも」
男はそう呟く。彼の呟きもまた白い息になっていた。その息の下でレッドキャップの躯は崩れていき最後には白い砂になって乾いた風により消し去られた。
一連の殺人事件は終わった。表向きには犯人は自殺し死体は川の中に流れて発見されなかったと発表された。しかし真実は限られたものしか知らなかった。公表しても誰も信じないものだったからだ。だからこそありのままには公表されなかった。そうした事件であった。
赤い帽子 完
2007・12・1
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