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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十九話 ヴァンフリート4=2 (その4)
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彼女の扱いに困ったリューネブルクは俺に相談に来た。気持ちは判らないでもない。女性兵の捕虜は危険なのだ。貴族たちが慰み者にする可能性が高いし帝国での捕虜には人権がないからどんな酷い扱いを受けるかわからない。結局選ぶ道は2つしかない、捕虜になるか、亡命者になるかだ。
彼女もその辺はわかっている、亡命者を選択した。そして気がつけば今度将官になるであろう俺の副官になる事が決まっていた。リューネブルクもヴァレリーもニコニコしていたがあれはどういうことなんだろう。俺ははめられたんだろうか? その内、捕虜交換があるから、その時帰ればいいか。いや、捕虜交換って有るのか?
グリンメルスハウゼン艦隊の扱いは相変わらず酷い。本来なら最大の武勲を上げた艦隊なのだからそれなりの扱いをしてもいいはずだ。しかし艦隊行動の序列は最後尾だし、イゼルローンでの休息、補給の受け取りも最後だった。これはオーディンについても変わらなかった。皆憤慨していたが、グリンメルスハウゼン提督だけが何も感じていなかった。
オーディンでは、遠征軍が上げた戦果に沸き上がった。敵一個艦隊を撃滅、司令官を捕虜、敵補給基地を破壊、基地司令官を捕虜、反乱軍はヴァンフリート星系より撤退……大勝利といっていい。しかし俺が嬉しかったのはゲルハルト・ヴィットマンを無事に連れて帰ることができた事だった。ヴァンフリート4=2の戦いでは、一瞬もう駄目かと思ったからね。司令部全員で写真を撮ったときには彼もその中に入った。最後に記念の品をねだられたので、持っていた時計を渡した。あまりいい品ではなかったが、凄く喜んでくれた。彼には軍人になって欲しくないと思う。
今回の遠征の総括と賞罰が終わった。グリンメルスハウゼン中将は大将になった。原作ではお情け(皇帝の命令)だったが此処では文句なく大将に昇進だった。このまま現役を続けるとか言い出すんじゃないかと冷や冷やした。ミュッケンベルガーも同じ想いだったろう。
他にも皆それぞれ昇進した。俺は二階級昇進で少将の地位を提示されたが断った、ミュラーが一階級で俺が二階級では納得がいかない。今回の遠征はミュラーの力無しでは成功は覚束なかった。どうせならミュラーも二階級昇進させてくれと頼んだがハウプト人事局長が納得しないので、俺を准将に、そして俺の変わりにジークフリード・キルヒアイスを少佐に昇進させてくれと頼んだ。
ハウプト人事局長はちょっと意表を突かれたようだったが、軍務尚書に相談してみると言ってくれた。おそらく大丈夫だろう。上手くいかなくても多分グリンメルスハウゼンが昇進させてくれるはずだ。彼には結構きつい事も言ったからね。それに良くやっているのは事実だし、喜んでくれるだろう。
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