圏内事件 ー聴取ー
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DAって金ヅ……取引相手だし? 何回か顔出してるうちに、ね」
金ヅル(仮)発言は置いておくとして、シュミットをフレンド登録してた事は寝耳に水だった。この様子だと、割と多くのプレイヤーとフレンドの登録をしてそうだが。それが原因でホームに頻繁に客人が来る……なんて事にならなければいいが。
ユニークスキルの事がバラされた時に、ゾンビ映画の如く情報屋共が押し寄せてきたのは、今でもトラウマだ。
そんな事を考えていると、どうやらシュミットからの返事があったようだ。シィがメールを送ってから、五分ほどしか経っていないが……狩りに出ているのであれば、こんな早くメールを返す事は出来ない。故に、アスナの見立て通りシュミットはギルドホームに立て籠もっているみたいだ。
「アスナ〜、シュミットが要件はなんだ?って聞けって」
「え、早っ……じゃあ、指輪についてって伝えて」
いつの間にか行われていたシィとシュミット間のやり取りに驚くものの、すぐに思考を切り替えて、簡潔に要件を伝えさせる。
そして、シィの二度目のメールが送信されて待つ事、数分。フルプレートアーマーに身を包まれたシュミットが城門から姿を現した。そして、自分達を見つけるなり、勢いよく走って来て、『場所を変えてくれ』と一言発すると、さっさと前を行ってしまう。
「……なんなの、アレ」
「さぁ?」
チョイチョイと袖を引っ張られ、横を向けば、シィが呆れた表情でシュミットを指差していた。その後、一言二言、言葉を交わし、前方を進んでいくシュミットを追った。
「誰から聞いたんだ」
坂道を降りきり、市街に入ったところでシュミットがようやく立ち止まる。
ガシャリと鎧を鳴らしつつ、振り向くとアスナではなく、何故か自分に詰問してくる。
「黄金林檎……ヨルコさんから」
『指輪』という文言が省かれている事に気づき、慎重に答える。
問いに対する答えを聞くとシュミットは一瞬目を見開き、次いで大きく息を吐き出した。
籠城していた件といい、『指輪』で釣れた件といい、既に圏内事件がギルド《黄金林檎》内で起こった指輪事件が原因で起こった事、そして圏内事件の目的が《指輪売却反対派》への報復、もしくは復讐という可能性まで辿りついていると考えられる。
シュミットの反応を注意深く観察しつつ、自分は直球な質問を放った。
「シュミットさん。アンタが昨日、掻っ払ってた槍の作者……グリムロックさんが今何処にいるか知ってないか?」
「し……知らん!」
叫びながら、首を激しく振られてしまう。切羽詰まった様子を見るにどうやら嘘ではなさそうだ。残念ながら、現在一番疑わしい人物まで辿りつく事は出来ないらしい。
ここで、今まで黙っていた
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