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赤い帽子
3部分:第三章
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く事件は解決するでしょう」
「次でか」
「殺害現場が特定されますので」
 男は冷徹な声でまた述べた。
「次で終わりです」
「ではどうするのだ?」
「お任せ下さい」
 昨日と同じ言葉であった。
「私に」
「そうか。ではまた考えがあるのだな」
「その通りです。今夜に全ては終わります」
 こうまで言うのであった。
「私が終わらせますので」
「わかった。それではだ」
 ここで署長は言う。
「それも任せたい。いいな」
「署長」
 副署長は今の署長の言葉に眉を顰めさせて問う。
「宜しいのですか、それで」
「事件の解決をか」
「はい、彼は医者です」
 そういう触れ込みである。これは副署長だけでなく署長も知っていた。だからこそ副署長は彼にそれを確かめるように問うたのである。
「それで事件の解決までとは」
「ですが。私はできます」
 しかし目の前でそう言われても彼の自信は変わらないのだった。
「必ずや」
「できなかったらどうするのかね?」
 副署長は怪訝な顔で彼に問う。
「相手は間違いなく凶悪な殺人鬼だ。それの相手なぞ」
「既にその為の用意もしておりますので」
 それでも彼は返事を変えない。
「何の心配もいりません」
「君が殺される危険もあるのにか」
「確かにそれはあります」
 これについては彼も認めるところであった。だがそれでもその口調はいつもと変わりはしない。あくまで淡々として感情に乏しいものであった。
「ですがその危険もまた」
「君のその備えで何もないのだね?」
「その通りです。ですから」
「わかった。そこまで言うのならいい」
 副署長もこれで根負けした。遂に彼の言葉を認めたのである。
「君に任せよう。それでいいな」
「それで御願いします」
「署長、私から言うことはもうありません」
 ここまで述べたうえで署長にも告げるのだった。

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