私と先輩のハナシ
【長編1】入学
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見学に行く予定があるんだ。多分1時間くらいで終わると思うから」
入学早々から部活動の見学なんてアクティブな子だなぁ、と思っていたが、私はこの時ひとつ勘違いをしていた。
「佐々木さんも部活見学行くでしょ?何か1つは絶対入らなきゃいけないもんね」
え?と疑問の声を漏らすと、同じく古野さんからも、え?と返ってきた。
「オリエンテーションで言ってたよ?うちの校訓はぁ、文武両道であるためぇ、部活動は必須であぁる、って」
妙なイントネーションのつけ方をしながら古野さんはそう言った。おそらく説明してくれた先生の真似をしたんだろう。
「・・・聞いてなかった」
私の言葉にまた、えぇ!?という驚きの声が上がる。
「何か入らないとまずいよ。部活入らないと、強制的に補習部ってのに入れられるって噂が・・・」
「補習部!?」
部活動は時間の制約ができてしまうから入らないようにしようと思っていたのに。
それに補習部なんて冗談じゃない。
そんなことを考えているのを見透かされたのだろうか。古野さんは、大丈夫!と胸を叩いた。
「何かに入ってればいいんだから、別に活発な部活じゃなくてもいいんだよ!文芸部とか、ね」
漫画も読めるらしいよ、と付け加えて。
正直なところ困惑していた。文芸部。考えたことも無かった。
文芸部といえば、部屋に篭ってずっと本を読んでいるイメージしかわいてこない。
本といっても漫画くらいしか読まない私には無縁な世界だと思っていた。
しかし、漫画が読める、というのが本当ならばなかなか悪くは無い。
今日のような待ち時間に時間もつぶせるし、なにより補習部に入らなくて済む。
「そうだね・・・。覗くだけ覗いてみようかな」
その言葉に、古野さんは、そっか!と笑みをこぼすと、またあとで!と手を振りながら走っていってしまった。
覗くと言った物の、文芸部か、と少し渋っていると、廊下を走るな!という大きな声と、すみません!と古野さんの固い声色が響いてきた。
その大きな声に驚くと同時に、放課後残っていると補習部に入れられる、といった不確定な不安が頭をよぎり、私は文芸部に足を運ぶほか無かった。
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