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赤い帽子
2部分:第二章
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それは正当に評価していたのだ。そうしたものを認められるということでこの署長もただ署長になったのではないことがわかる。
「だとしたらその力に賭けてみよう」
「左様ですか」
「そうだ。我々は我々でやる」
 そのうえでまた言う。
「それでいいな」
「わかりました。それでは」
 これで副署長も納得した。署長はそんな彼の顔を見ながらまた言う。
「それにしても。確かに奇怪な事件だな」
「そうですね。おそらくはただの通り魔ではありません」
 それは副署長もわかった。そう捉えるにはあまりにも不可思議だからだ。そもそもそれだけ古い斧を侠気に使うということが不可思議であった。
「何でしょう、すると」
「それも調べていこう。彼はそれもわかっているようだがな」
「おかしな話ですがね」
 副署長にしてみせばそうであった。
「千年前からだの何なのと。有り得ないことです」
「人ならばな」
 署長は何故かここでふと異形の存在の気配を感じた。
「そうなるが」
 そう呟くのであった。白衣の男は彼等がそんな話をしている間にもう自室に戻っていた。そこは署内にある研究室であった。様々な解剖の標本やフラスコ、実験に関する本や解剖結果の写真等がある。事件現場や犯行現場の写真ファイルもある。そうした極めて不気味な雰囲気の部屋の中に一人で入っているのであった。
「さて」
 彼は自分の机に座った。その上には一冊の本があった。
「私の考えが正しければ」
 見ればそれは古い本である。少なくとも医学や犯罪に関するものではない。彼はそれをゆっくりと開いたのである。
 それだけで埃が起こる。紙ではなく布か何かの本であった。それだけでかなり古い本であるのがわかる。所々破れたり虫食いまである。

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