8部分:第八章
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れていたとか」
「死ぬ間際までですね」
「それも間違いありません。やはりそれも皆が言っています」
「では結核でないことは間違いないですね」
「そうかと。ですが」
そして僧の目が光った。今この時に。
「ですが?」
「遺体はかなり無残だったようです」
意外な証言であった。少なくとも彼の勘に触れるものであった。
「それについてもお話しましょうか」
「是非」
すぐに僧に対して答えた。
「御願いします。どうした有様でしたか」
「かなり膨らんでいたそうです」
最早確実に結核ではないことがわかる話であった。
「それこそ毬の様に」
「毬ですか」
「おまけに肌のあちこりはふやけて破れていたそうです」
「肌が?」
「そうです」
また司祭に対して答える。
「しかも服はあちこちが濡れていたそうです」
「ふむ、そういうことですか」
司祭はここまで聞いてあらためて納得した顔で頷くのだった。
「やはり。そうでしたか?」
「!?司祭様」
僧は今の司祭の納得した顔を見て問うのであった。彼は司祭のその納得した顔とは正反対に怪訝な顔になっていた。その顔で問うたのである。
「何かおわかりですか」
「まさに天罰です」
司祭の最初の言葉はこうだった。
「天罰です、これは」
「天罰とは」
「魔女の審問でありますね」
今度は魔女の審問を言葉に出すのであった。
「魔女の!?」
「そうです。水に投げ込む」
これであった。その縛り上げたうえで水の中に放り込み浮かべば魔女、沈めば魔女ではないと確かめるものである。どちらにしろ死ぬものである。
「それなのですよ」
「といいますと?」
「あの方はそれを受けて死んだのです」
「受けてですか」
「そう、因果応報です」
こうも言ってみせたのだった。
「全ては。その結果です」
「世の中。報いは確実にあるのですね」
「その通りです。悪には悪」
司祭の言葉は続く。
「全てはその定理に基いています」
「そうですね。それではそれを肝に銘じて」
「生きていきましょう」
その言葉に頷き合う二人であった。ホプキンズは謎の死を遂げた。それが実際に報いであったのかどうかは公式の資料ではわかりにくい。だが彼を知る者は皆それが報いだったと言う。現実はどうだったかはわからない。しかし若しそれが真実だとしても。それは誰にも疑えないものがあった。現実の中に。
魔女将軍 完
2008・8・28
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