暁 〜小説投稿サイト〜
シークレットゲーム 〜Not Realistic〜
温もり
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「……!!」

 悠奈の指摘、そして、刀真が言う本心はまさにその通りだった。

 あわよくば、その銃と日本刀を交換して貰おうとまでしていたのだ。……自分は、琴美の命と、他のメンバーの命を修平の中にある天秤の中でかけたとしたら、圧倒的に琴美の方へと傾く。それは火を見るより明らかだと自分の中でわかっている事だ

 そして、それはたとえ自分の命を他のメンバーの側に乗せたとしても結果はなんら変わらない。

「……言ってたよな。≪ただゲームをクリアしたいだけじゃない≫と。それがあの少女なんだろう?」
「そうよね。大切な人まで、このゲームに参加させられてるんだから、あんたの気持ちも解らないでもないけどさ。……でもね、武器を手に入れたからって、人間は強く慣れはしない。刀から銃に換えたってそれは同じコトよ」

 悠奈は修平の足元にある刀をチラリと見てそう答える。そこまで見抜かれた修平だったが、もう黙ってはいなかった。

「……何を言ってるんだ? 危険が迫っているのなら、それを退ける力が必要だろう? 自分や仲間の身を護る為には力が必要だ。……違うか?」
「間違っては無い。確かに力が無ければ何も守れないからな。だが……」

 刀真は目つきを鋭くさせた。

「自分以上の力。……大きすぎる力は身をも滅ぼす危険性を孕んでいる。それは、大小関係ない。拳銃でも、例え核であっても同じ事だ」
「核って……」
「まぁ……、少々例えをでかくさせすぎたかも知れんが、分相応のもの出なければ、いつかは自分に牙を向く。……それが武器だ。そのせいで、お前の大切なものを失うかもしれないぞ? ……そこまで考えているのか?」
「いや……、だが、オレは琴美を守れればそれでいい。……失うのだけはゴメンだ」
「それって、格好良さげな台詞だけど、はっきり言って狭量じゃない。男ならヒーローを目指して欲しいわね」
「ヒーローって。子共じゃないんだ。それに映画やゲームの世界とは違う。そんな都合のいい存在、この世には存在しない!」

 仮にそんな存在がいたとしても、間違いなく自分以外の人間だとわかる。……力で言えば、刀真が一番相応しいのではないかと思える。

 なぜなら、たった一人で襲撃者迎え撃ち、仲間全員を逃がした。
 それだけでも十分そうだ。

 自分自身は、琴美を通じてしか、世界を愛する事が出来ない人間だ。

 だからこそ、彼女を守りたい。
 だが…、まるで2人はその想いを否定されている気がするんだ。武器を持ち、彼女を守ろうとしている。だが、2人は武器を持ったところで守れない。失うと言うんだ。


――そんな未来……あってたまるか。


「修平。……その気持ちは大切な事だ。強い想いは時として、奇跡を引き寄せる事だってある。……現実だろうと
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