暁 〜小説投稿サイト〜
魔女将軍
7部分:第七章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話

 やはりホプキンズは邪悪なのであった。こうした行動を悪と呼ぶべきならば。
「貴方達を騙して」
「騙されないようにする為には」
「知ることです」
 司祭は厳かに人々に告げた。
「そして心を静かにすることです」
「知って静かになるのですか」
「そうです」
 このことを人々の心に刻み込むようにして語るのであった。
「その二つがあれば付け込まれることはなくなります」
「左様ですか」
「惑わされてはなりません」
 重ね重ね忠告してきた。
「その二つを身に着けて。決して」
「わかりました」
「これからは決して」
「様々な人がいます」
 ここでまたホプキンズについて語るのだった。
「中には心正しくない者もいます」
「はい」
「そうした輩を見破り騙されないことこそが大事なのです」
 司祭はあくまでこのことを強調するのであった。人々にどうしてもわかってもらい身に着けてもらいたいが為に。これこそが彼の願いであった。
「それは御願いしますね」
「はい、今ここに」
「それを誓いましょう」
「神はそれを望んでおられます」
 司祭として相応しい言葉が出された。
「正しきことを知り常に静かな心であられることを」
「そうすれば」
「最早魔女を見つけると騙る輩にも騙されることはなくなります」
 こう人々に語るのであった。それから暫くして当のホプキンズが死んだという話を聞いた。司祭はその話を己の務めている教会で聞いたのだった。
「死んだのですか」
「はい、そのようです」
 若い僧の一人が彼に答えるのだった。今彼等教会の礼拝堂の清掃を行っている。神父達の前に十字架のキリストとステンドガラスがある。黄色や青、緑の光がステンドガラスから教会の礼拝堂の中に入り込んでいた。彼はその中でホプキンズの話を聞いたのである。
「まだ詳しくはわかりませんが」
「この前までは元気だった筈ですが」
 司祭は話を聞きつつこう述べた。
「確か」
「それが急にだそうです」
 若い僧はまた彼に語る。
「急死と言うべきでしょうか」
「急死ですか」
「結核だそうです」
 僧は述べた。当時の死因としては非常に多いものであった。結核にかかったならばもう長くはないとまで言われていた病であったのだ。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ