取引を持ちかけられました
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、その景色を見てどれだけ浮かれていたのか、落胆が大きければ大きいほど解る。
売り上げ自体が悪いわけじゃない、現に低レベルのドロップで作成出来る量産品は勢い良く売れている。
だが違うのだ、裁縫がスキルカンストしていると言うのが珍しいだけで、
来店記念に買っていくだけの日本人特有のお土産精神でしかない。
わたしはそんな心算で自分の店を出した訳じゃない。
「お疲れのようだナ」
店の入り口に目を向けると《鼠のアルゴ》がそこに居た。
「いらっしゃい…………あなたが此処に居るって事は、第四十八層の物件は見つかったって事よね?」
「――――その事なんだガ、どうしても二基の水車を兼ね備えた物件でないと駄目カ?」
「ええ、奥に篭って作業したいし…………何か問題が起きたの?」
「水車を二基備えたモノは三軒あっタ、一軒目は転移門広場前でカフェテラスを開ける物件ダ」
「却下、今でさえウンザリしてるんだから、指定どおりメインストリートは除外よ」
「…………二軒目は街の北区になるんだガ――――既にプレイヤーが入っていタ」
「――――ボス攻略直後、転移門がアクティベートされる前に買い取られたって事?」
「…………そうなるナ、普段は物件に見向きもしない奴なんだガ、今回に限って珍しく執着を見せていル」
「話からすると、あなたの知ってる人かしら?」
「ああ、そいつがどんな条件でも譲ろうとしなイ、粘って見たがクライアントが顔を見せてくれれば考えると」
「最後の条件が合う所は?」
「ギルドホーム用のドでかい物件だけだナ、正直言ってお手上げダ」
アルゴがしょんぼりと俯いた。
「…………二軒目に直接交渉してみようかしら? 諦めるにしても納得のいく答えが欲しいわ」
「正直に言うと止めておいた方が良いゾ、アレが一度コレと決めた物は滅多に変えないからナ」
「――――そう、わたしもそうなのよね。一度決めた事を中途半端で終わらせても碌な事がないわ。
…………それに、そういう人を相手にするのは学生時代から慣れてるし、それじゃあ行きましょうか」
アシュレイは店番をNPCに任せると、アルゴと共にリンダースの物件に向かった。
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