暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
StrikerS編
108話:約束と理想
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「お前達の正義≠ネんて関係ない。自らの欲望≠満たす為、世界の希望≠飲み込み、人々の絆≠熈信頼≠焉c全てを自分の色に染める」


 それがスカリエッティであり、その奥にいる強大な闇≠ナあり。
 そして……


「―――世界が滅びる運命≠ゥら逃れることはできない」
「ふざけんな…ッ!」


 そうさせない為に、ならない為に…俺達が戦ってるんだ。
 発せられた言葉によってか、変化した剣の先を向けられる。しかし仮面の男は臆することなくそれを掴みとった。


「こうしてる間にも、あいつらはきっと戦ってる筈だ。だから俺も…!」
「弱いお前に何ができる! ただ己の偽善を振りかざし、それ故に負けるお前に―――何が守れるというんだッ!」
「ッ、がぁ!」


 言葉が荒々しくなると同時に、仮面の男の手から剣が離れ火花が散る。
 数歩下がったところで片膝をついた男に、今度は蹴りが容赦なく繰り出される。怒りにも似た感情をあらわにし、転がる男を叱咤する。


「これ程までにお前は弱い! お前が憧れた英雄(ヒーロー)£Bのような強さが、お前には足りないんだッ!」


 これまで大切なものを守ってきた、色々な命を救ってきた。それは事実だ。
 だが同時に、大切なものを失っても戦い続ける強さが、意思がなくなってはいないか?

 両手をつき先程のような体勢となった男に、尚も続ける。彼らにはそれがあった、と。
 悪を許さず自らの誇りを守る為、自らの願いを守る為、彼らは戦い続けた。例え失うものがあったとしても、自らの命が危機にさらされようとしても。


「お前にそれはあるのか? 戦い続けるだけの覚悟が、強さが! お前にッ!」


 再び向けられる切っ先、仮面の男は視線を下げたまま。
 バックルにあった13の紋章は全て消え失せており、そして中央の宝石も―――鮮やかだった輝きが消え失せ……

 仮面の男の体が、人のものへと戻った。


「……それが、あの人達≠フ答えだ」
「…………」


 顔を下げたまま苦々しい表情を浮かべる。そして剣を向ける男の姿は不思議なことに―――先程までの仮面の男と、同じ姿になっていた。


「なら、俺が代わりに破壊≠キる。この世界も、秩序も全て…そこから、作り直すだけだ」


 スゥ、と振り上げられる剣。狙いは、生身となった男の首。たった一振りで、終わりにするつもりらしい。
 振り切られれば、死ぬ。そんな状況でも、男は顔を上げなかった。ただうつむいたまま、視線を上げずに沈黙を貫く。


「…最後に言い残すことは、あるか?」


 同じ顔を持つ者への情けだろうか、男は言った。
 両手両膝をつく男。小さく、だが二人の耳にしっかり
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