4部分:第四章
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れば確かに刺されて赤くなっている。どう見ても蚊に刺された後である。確かに蚊もまた何処にでもいるものだ。
「そんな虫がいれば蜘蛛もまたいる」
「ええ」
「蜘蛛の好物は蝿や蚊なのですからな。つまり何処にでもいるものです」
「そうだよな、それは」
「結局何処にでもいるな」
周りで言い合う。
「そんな虫なんてな」
「ああ、そういえばだ」
人々は虫についてわかったところでさらにもう一つわかったのだった。それは。
「犬や猫にしろそうだよな」
「犬なんてそれこそな」
番犬である。これまた大抵の家にいるものだった。
「うちの猫なんか三匹もいるぜ」
「御前のかみさん猫好きだからな」
「鼠捕まえるから助かるんだよ」
「そうそう」
「犬や猫もそうです」
司祭はまたここで言うのだった。絶好のタイミングであった。
「やはり何処にでもいるものですな」
「はい、確かに」
「というとやっぱり」
「その通り。どうとでも言えるもの」
はっきりと言ってみせたのだった。
「この様なことは。本当にどうとでも」
「針もそうだし使い魔も」
「ああ、そういえば他にもあったな」
「他にも?」
「ほら、あれだよ」
彼等は魔女狩りとその取り調べにおいて実に有名なあることを思い出したのだ。このことは魔女について誰もが知っていることであった。
「魔女を水に放り込むよな」
「ああ、あれか」
「浮かんだら魔女だっていうやつだな」
「それもです」
司祭はそれについても言葉を入れてきた。やはり絶好のタイミングであった。
「沈んだら魔女ではないのですな」
「ええ、そう言われています」
「縛り上げて放り込んでいますけれど」
これもまた魔女の審問においては常である。泳がれては何にもならないからだ。
「それで沈んだら当然死んでしまいます」
「はい」
「そして浮かんだならば」
「魔女です」
「違うのですか?」
「そもそも魔女ならば簡単に縄なぞ抜けられませんか」
「んっ!?」
皆ここで司祭の言葉にはっとするのであった。そうなのだ、魔女は魔術を使うものだ。それならば縄なぞ当然の様に抜けられて当然だ。彼等はこのことに気付いたのだ。
「そういえばそうだよな」
「何せ魔女だぞ」
それぞれ顔を見合わせて言い合う。とんでもないことに気付いた顔であった。
「やっぱりそんなことは」
「普通に抜けられる筈だな」
「その通りです。つまりは」
「水もインチキなのか」
「そういうことになるな」
「さて、ホプキンズ殿」
ここでまたホプキンズの顔を見る司祭であった。彼はホプキンズを問い詰める目をしておりホプキンズの顔は蒼白になっている。実に好対象であった。
「貴方は多額の報酬を受け取っていますね」
「寄付です」
「ですが受け
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