マブラヴ
1238話
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クセル。何とかしなさいよ!」
「ったく。しょうがないな」
念動力を発動し、夕呼の動きを強引に止める。
「え? あら? ああ、念動力ね」
身体を動かすのは苦手でも、頭の回転は早い。
すぐに俺がどういう手段で自分の動きを止めたのかを思い出し、夕呼は安堵の息を吐く。
「ほら、こっちに戻ってこい」
念動力を使って坂を斜めに上ってくる……しかも後ろ向きのままという、色々な意味で希有な体験をしている。
「ちょっ、ちょっとアクセル!?」
悲鳴を上げつつ、周囲の者達から注目の視線を浴びながら俺の下へと戻ってきた夕呼は、ジトリとした視線をこっちに向けていた。
「あんた、人を見世物にして楽しい?」
「まぁ、そこそこ」
「へぇ。……後で覚えてなさい」
「そう怒るなって。それより……そうだな、こうしたら少し分かりやすいんじゃないか?」
夕呼の後ろへと移動し、そのまま密着する。
これが水着だったり、普通の服だったりしたら色々と困ったことになったかもしれないが、スキーウェア越しである以上、あまりそんな気分にはならない。
「ちょっ、アクセル!? あんた何してるのよ!」
ただ、どうやら夕呼は違ったらしい。
最初に俺と出会った時には色仕掛けで抱かれようとしたというのに、妙に初心な様子を見せる。
「何って言っても、こうやって教えた方が分かりやすいだろ。ほら、行くぞ」
「あ、ちょっと、こら! どこに触ってるのよ!」
「安心しろ、このスキーウェア越しだ。どこに触っていても全く分からない」
「あんたが気にならなくても、あたしが気になるのよ! あ、こら。ちょっと変なところに触らないでよ。責任取って貰うわよ!?」
「あー、ほら。いいからもっと滑るのに集中しろ。いいか? ボーゲンで滑るのはこうやってだな。曲がる時の体重移動はこんな風にして……」
キャーキャー騒いでいる夕呼というのも珍しいが、取りあえずそれは一旦聞き流しながらスキーのやり方を教えていく。
やがて夕呼も騒いでいるうちに落ち着いてきたのか、大人しくなってスキーの練習に集中していく。
ゲレンデの下まで辿り着くと、嬉しげに笑みを浮かべた夕呼が俺の方を振り向き……顔がすぐ近くにあるのに気が付いたのか、急に顔が赤くなる。
「ちょっと、近づき過ぎじゃない? あたしはそんなに安っぽい女じゃないんですからね。大体、あたしは年下は性別識別圏外なんだから」
「いや、俺の年齢から考えれば、十分に夕呼よりも年齢は上なんだが。色々な世界に転移して、そこで過ごした時間を考えれば特に」
「うっ、そ、それは……いいから、とにかく離れる!」
二人羽織……というのはちょっと分かりにくいか。半ば俺が抱きしめた状態だった夕呼が、俺の腕の中
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