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流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
55 ホワイトナイトの憂鬱
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ってしまうんだよ、炎山くん。通常のルート権限ならば、通常ユーザーからのランクアップするのが一般的だが、アクセス権に階級を作り、なおかつ上位の者へのアクセスを禁じるというルールが新しく作られた。これは通常のシステム内での攻撃より難しい。システムのルールそのものを歪めなくてはならないからだ」
「そうです。もしローカルネット経由で侵入しようとすれば、このルールそのものを歪めるのに、相当なおかつ間を要します。その間にローカルネットを構成するシステム内のセキュリティ巡回システムに捕らえられる可能性が高い」

リサはPCを閉じて、大きく深呼吸をした。
半ば諦めたような力の抜けた表情で炎山の方を見て、再び口を開く。

「ここまで聞いてまだ私にやれと言いますか?」
「……」
「それに私はやるとは一言も言ってませんし」
「ちょっ、リサさん!?」
「正気か、キサマ?」
「逮捕したいならしたらいいじゃないですか」
「キミ……」
「別に課長を庇うわけでも、妹のことを諦めたわけでもありません。でも今の私にできることはない。それにあなた達の目的は課長の悪事を暴くこと。私の妹やヨイリー博士のことは二の次でしょう?そんなあなた達のことを信用できません」
「ヘンゼル……」
「リサさん……」
「話は終わりですか?それでは失礼」

リサはテーブルの上に広げた私物をまとめると立ち上がろうとする。
しかし再び炎山の手が根を張り、リサの動きを止めた。

「……離してくれませんか?」
「座れ」
「……ハァ」
「よく聞け。我々の目的はお前の言う通りだ。だがそれだけじゃない。木場に罪を着せられて逮捕された光熱斗を知っているか?」
「……えぇ」
「私の息子だ」
「え?」
「そしてオレの友でもある」
「!?」

祐一朗と炎山の言葉にリサの顔色は変わった。
特に炎山の発言には驚きを隠せなかった。
祐一朗は言われてみれば、熱斗に似ているような気がした。
しかしこの冷血漢の辞書に「友情」という文字があったことは素直に衝撃だった。

「オレたちとキサマは同じく助けなければならない人間がいる。だからキサマの気持ちも分かる。それに今の目的はキサマらを捕まえることじゃない。決してキサマの妹と博士を二の次にはしない。約束しよう」
「……」
「いいか、恐らくキサマはオレのことを犯罪者を憎み、目的の為ならば手段を選ばない、冷血なマキャベリストに見ているだろう。その通りだし、否定はしない。だがオレは決して一線は越えない。自分の名誉、そして大勢の利益の為に人間を天秤にかけるような真似はしない、今の目的を見失うことはしない。それにオレは自分の名誉の為に真実を捻じ曲げるような人間を決して許さない」
「……」

炎山は静かに、しかし力強く拳を握りながら、リサに
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