暁 〜小説投稿サイト〜
流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
55 ホワイトナイトの憂鬱
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分析官はいつものチャラチャラとした雰囲気を必死に抑えようとしながらリサに謝った。
確かに金で情報を売るように言われれば、簡単に魂もろとも売り払い、その通りにしかねない悪い意味での最近の若者といった感じだが、むしろ軽薄過ぎてそこまで脳みそが回らない類の人間の箱に入っていた。
リサからすれば、笹塚=内通者という犬=猫と殆ど同じ今までの自分の中での常識を覆す方程式を叩きつけられたのと同義だった。
その現実を叩きつけられて僅か数秒で早くも混乱し、しばらくリサは黙り込む。

「それで?私に何をさせるつもりですか?」

少し目を閉じて考えた後、何処か気だるそうに問いかける。

「木場のPCに侵入し、不正の証拠を掴んで欲しい」
「課長のPCに?ハッ」
「何がおかしい?インターネットがダウンしていても、ローカルネット経由ならば十分可能だろう」
「私も真っ先にそれを考えました。でも……」
「失敗したのか?」
「課長が赴任した昨日、私が才葉芸能学園の一件から戻った時、ローカルネットの構造が全く違うものへと置き換わっていました」

リサはHP・Pavilion X360を開いて、炎山の方に向けた。
ローカルネットを探査して得られたパケットを元にグラフィックにしたものだ。
そこにはまるで蟻の階級社会を表すような構図が表示されていた。

「今までは中央サーバーに対して、クライアントという立場の我々がアクセスするという一般的なシステム構造で、それは一般の職員から上の人間まで現実での階級の違いはあれど、この構造の中ではサーバーを利用するいちユーザーとしての立場は共通でした。そしてサーバー上のファイルはアップロード者が管理権を持っていて、互いに互いの領域へのアクセスは基本的にできない」
「だがキサマなら他人の領域へのアクセスはできるだろう?」
「ええ。でも正式な手段でアクセスすることもできます。その時はその職員が何らかの不正に関わっているという疑いがある場合、サーバー上にあるデータが機密保持の為に削除する必要がある場合、職員が退職か死亡したといった場合などに長官が判断して、その権限を与えます」
「なるほど。しかしこれを見る限りだと……」

今まで炎山とリサのやり取りをただ黙って聞いていた祐一朗がそのグラフィックを見て口を開いた。
それは研究者であり、技術者であるからこそ入っていける領域だったのだ。

「職員のアクセス階級が、現実の階級に改められてるんです。そのためシステムの構造上、上位の人間は回の人間の領域に入り込めますが、その逆はできない。つまりどう足掻いても上位の人間の領域には入り込めない」
「しかしどんなシステムであろうとセキュリティホールは存在するはずだろう?」
「確かにそうだが、これは普通の侵入とは違って難易度が相当上が
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