精神の奥底
55 ホワイトナイトの憂鬱
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合の次の手として用意していた人物がいないという状況に焦りを覚えており、この休憩スペースで見つけた時は素直に安心していた。
「昨日の夜、実働部隊の幹部が1人、木場課長に命令無視したために敵と繋がりがある裏切り者の容疑を掛けて捕まえようとしました」
「暁シドウのことか?」
「!?...知っているとは驚きました」
「続けろ」
「その時、私の妹で同じく分析官のマヤがアカツキさんを逃がすために銃を向け、彼女もまた裏切り者として拘束されたんです。そのことで私にも裏切りの容疑が掛かり、でも確たる証拠が無かったから、管制室への立入禁止程度で済んで今に至るっていう感じです」
「それは我々も把握していなかった」
「当然でしょう?だって謹慎を言い渡されたのは、つい50分前の話ですから」
「......」
炎山は呆れて言葉も出なかった。
自分が木場と交渉を始めたつい10分前に入れ違う形で謹慎を言い渡されたというのだ。
確かに今思うと、最初の木場の態度は何か嬉しそうにも見えた。
炎山は頭の中で木場の舐め腐った態度をかき消すと、話を続ける。
「キサマの妹『グレーテル』ことマヤ・ホープスタウンも拘束されて自由が利かない状態だという報告は聞いていたが......」
「...妹のことまで......」
「キサマらのことは全て調べた」
「...それで何の御用ですか?今はただの分析官の私に」
「今日はWAXAの分析官のキサマではなく、クラッカー・ヘンゼルとしてもキサマに用事がある」
「クラッカーとしての私に?」
「キサマに手を貸してもらう」
「私に用なんて…オフィシャルも堕ちたものですね。昔は私たちを目の敵にしていたくせに」
「フン、まるでこちらが悪人であるような言い方だな」
炎山はいつも通りの冷静な態度を崩さないが、リサを見つめるその目だけは違っていた。
それは強い殺意ににも似た犯罪者への怒りを発している。
それを感じ取ったリサは思わず目を背けた。
「でも、どうしてそこまでの情報を……そうか、内通者」
「その通りです」
「!?あなたは……」
その瞬間、リサの反対側の席によく見知った人間が座った。
リサは思わず口を開けたまま、ぽかんとしてしまう。
それもそのはずで、その人物はリサを筆頭に頭の中で内通者というキーワードと結びつかない類の人間だったからだ。
むしろ縁遠いどころか、かすりもしない。
「笹塚さん…あなたまでジョークのつもりですか?」
「いや…その…あの…スミマセン」
「ここでこの話をするのも、このテラスが職員の休憩所でありプライバシーに配慮して例え課長階級でも防犯カメラの映像と音声を閲覧することができないということも織り込み済みだ。こいつの情報からな」
その人物・笹塚
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