精神の奥底
55 ホワイトナイトの憂鬱
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ルくんには何?」
「...今度の生徒会選挙でバッチリ働いてもらわなきゃならないんだから!」
「えぇ!?1年生なのに、2年生の先輩だらけの生徒会選挙に出るの!?」
「もちろんよ!あと今回の件のお礼もちゃんとしてもらうわよ!?」
「お礼?...生徒会選挙の手伝いを頑張る!じゃ...ダメ?」
「ダ・メ・よ!そうね...まぁ、考えておくから覚悟なさい!」
そう言って、ルナは席を立ち、一度2人に背を向けた。
少し赤面していた。
自分でも何故かは分からないが、スバルのことになるとたまに赤面してしまう。
何かの病気ではないかと時折不安になることもある。
だが開放的な病院の窓の方へ寄って行き、そこに広がる広大なデンサン湾と不思議な美しさを持つ臨海区の街並みを見ながら、一度深呼吸をすると気分も落ち着いてくる。
そして白のカーフベルトに換装された33ミリケース、ホワイトダイアルのカルティエ・バロンブルーで時間を確認する。
ダイヤモンドを11個を使用し、自動巻きムーブメントを搭載した90万ゼニー以上はする中学生には高価過ぎる品だ。
時刻は午前11時、到着する頃にはお昼時になっているだろう。
もしそこで何かがあれば、予約していたレストランはキャンセルせざるを得なくなる。
犯人グループの計画は何とかしなければならないとは思うが、スバルとミソラには危険な目にあって欲しくなかった。
何も無ければいい。
そして全部スバルの思い過ごしだったという結論で食事をしたい。
そう思いながらルナは振り返る。
「じゃあ、行きましょうか」
その言葉を最後に3人は病院を出た。
伊集院炎山は誰から見ても苛立っているのが分かる表情で戻ってきた。
その姿はいつものクールな雰囲気を保ちつつも、すれ違う者たちは皆、不思議と恐れを覚えて避けてしまう。
炎山自身に至っては冷静さを保つのが精一杯で周囲の人間が自分を避けていることにすら気づかない。
少し気を抜けば、壁を思いっきり殴っているかもしれない。
それだけの“手厚い歓迎”を受けてきたのだ。
「どうだった、熱斗は!?」
「......」
「...そうか」
そこで待っていた光祐一朗に申し訳ないと思いつつ、首を横に振った。
祐一朗も覚悟はしていたが、その現実を叩きつけられると落胆せずにはいられない。
炎山も正直なところ、悔しかった。
「木場はこっちの話に聞く耳を持ちませんでした。終始耳をほじり、あくびをし、舐め腐った態度で露骨に神経を逆撫でしてくるようなとんだクズ野郎でしたよ」
「......」
「最後にはこう言いました。笑顔で。「私の活躍で捕らえた容疑者だ。その手柄を横取りしなようなんて、オ
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