第二百四十二話 淡路からその九
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「我等は勝ちに大きく進みます」
「それでな」
「はい、一気に流れを掴みましょう」
「しかし妖術は破らぬ」
今はとだ、信長はこのことは竹中にも強く言った。
「よいな」
「それは、ですな」
「屋島の次じゃ」
その次での戦でというのだ。
「奴等は切り札として使って来るが」
「その切り札をですな」
「効かぬことを見せてやるのじゃ」
屋島の次の戦、そこでというのだ。
「そうすればもう間違いない」
「魔界衆に勝つ」
「そして滅ぼすことが出来る」
「そうなりますな」
「そういうことじゃ、敵に切り札があるのなら」
それならばというのだ。
「その切り札を破ることじゃ」
「それもまた戦ですな」
「戦の仕方ですな」
「揃えるものを揃え流れを掴み」
「相手の切り札も破る」
「それもまた、ですな」
「そういうことじゃ、それにじゃ」
信長は干し飯を食いつつさらに言った、周りに警戒しているのは止めていない。二万の軍勢と陸と海から密かに進ませつつも。
「奴等は自分達の妖術を無敵と思っている様じゃが」
「それは、ですな」
「違いますな」
「奴等の妖術は無敵ではない」
「左様ですな」
「この世に完全のものも無敵のものもない」
信長はここでこの持論も出した。
「それは妖術も同じじゃ」
「破れるものですな」
「果心居士殿がお渡ししてくれた呪文で」
「それが出来まするな」
「そうじゃ、無敵のものなぞないのじゃ」
何一つとして、といった口調での言葉だった。
「どんなものでも必ず破ることがあるしその方法がある」
「確かに。鉄砲でも」
ここで言って来たのは丹羽だった。この度の戦でも武具や兵糧を揃えることに力を発揮して見事に揃えても見せている。
「雨になればです」
「使えぬな」
「はい、鉄砲は確かに強いですが」
それでもというのだ。
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