2部分:第二章
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第に大きくなっていく。それは一人から出されている言葉ではなかった。老婆を取り囲み多くの者が発していた。言葉を発することができない老婆に対して。
「火炙りだ」
「忌まわしい方法で蓄えたものは全て教会に戻せ」
「そう、その通りです」
またしてもホプキンズは笑うのだった。顔が少しであるがそれまでの善意に満ちたようなものから何か別の邪なものまで見られてきた。
「忌まわしい全ての罪を清める為に」
「魔女を殺せ!」
「火炙りにしろ!」
人々の声は絶叫になってきた。最早老婆の運命は決まった。少なくとも誰もがこう思った。老婆は怯えその中で震えているだけのように思えた。しかしこの時だった。
「待たれよ」
「!?誰だ」
「あっ、貴方は」
人々が声がした方を振り向くとそこには一人の司祭がいた。初老の知的な目の光を漂わせている落ち着いた顔立ちの司祭であった。
「司祭様、どうしてここに」
「確かめたいことがありましてな」
ホプキンズに対して答える。答えながら前に出て来て何時しか老婆の前に立っていた。
「確かめたいことですか」
「はい、まずは蝿ですな」
「そうです。蝿です」
最初にホプキンズが証拠だとしたその蝿である。
「この蝿です」
「ふむ」
見れば蝿は叩き潰されている。ホプキンズが証拠だとした後で人々に悪魔として潰されたのである。もう身動き一つしはしない。
「この蝿ですな」
「蝿がどうかされましたか」
「暫し拝借します」
こう言うとその蝿を受け取った。そして火打石を取り出しそれを側にあった枯れ木と共に焼いたのであった。人日とはそれを見てまずは首を傾げさせた。
「燃えましたな」
蝿を燃やしつつ人々に対してこのことを告げるのであった。
「今確かに」
「ええ、まあ」
「燃えていますが」
人々もホプキンズも何が何なのかわからないまま人々の言葉に答えた。
「ですがそれが一体」
「何かあったのですか?」
「これです」
司祭ははっきりとした声で人々に言った。
「これ!?」
「そうです、御覧下さい」
あらためて人々に対して述べるのであった。ホプキンズも何が何だかわからないといった顔で司祭の為すことと言葉を見て聞いているだけであった。
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