暁 〜小説投稿サイト〜
新オズの腹ペコタイガー
第十幕その五
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「クォックスさんはシトリンをどうして持っていたのかな」
「右の前足に持っていたんだ」
 そうしてというのです。
「ずっとね」
「けれどその右の前足からなんだ」
「この上を飛んでいる時にね」
 困ったお顔で言うのでした。
「ぽろりとやっちゃって」
「それでだね」
「今探しているんだ」
 そうした事情だというのです。
「それでだね」
「うん、それじゃあね」
「今からだね」
「シトリンを探し出すよ、だからね」
「だから?」
「クォックスさんの右の前足の匂いを嗅がせてくれるかな」
 これがトトのリクエストでした。
「今から」
「僕の右の前足の?」
「うん、クォックスさんがシトリンをそこに持っていたのなら」
 それならというのです。
「シトリンに匂いが付いているよ、それも強く」
「強くなんだ」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「その匂いを探すよ」
「僕の匂いじゃないんだ」
「身体の場所によって匂いは変わるからね」
「あっ、そうなんだ」
「うん、足と手で匂いが違うんだ」
「君はそうしたことまでわかるんだ」
「犬だからね」
 まさにそれ故にというのです。
「僕はわかるんだ」
「それは凄いね」
「犬は皆そうだよ」
 それで普通だと言うのでした。
「気にしなくていいよ」
「ううん、それじゃあ」
「今からね」
「右の前足の匂いをね」
 まさにというのです。
「嗅がせてね」
「わかったよ、じゃあね」
 クォックスは右の前足を差し出しました、そして、
 トトはその匂いを嗅いででした、そのうえで。
 周りを見回してお鼻をくんくんとさせてでした、暫くそうしてです。 
 一行の左手にある林を見てです、こう言いました。
「多分ね」
「あの林にだね」
「あるよ」
 そのシトリンがというのです。
「匂いがするから」
「それじゃあ」
「今から行こう」
 こうしてでした、トトはすぐに林に向かいます。その彼にです。
 恵梨香がです、こう言いました。
「私も行っていいかしら」
「恵梨香も来てくれるんだ」
「トトだけなら林の中に何かあったらいけないから」
 用心をしてというのです。
「私もね」
「それでなんだ」
「ええ、一緒に行っていいかしら」
「うん、お願いするよ」
 笑顔で答えたトトでした。
「それじゃあね」
「ええ、じゃあね」
「僕も行くよ」
 腹ペコタイガーも言ってきました。
「猛獣とかがいても僕がいたら安心出来るよね」
「だからだね」
「貴女も来てくれるのね」
「そうしよう、三人で行こう」
「じゃあ私達はね」
「ここで待っているよ」
 トロットとモジャボロはクォックスのところに来て言いました。
「林には恵梨香達が行って」
「僕
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ