第十幕その四
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「あれっ、クォックスじゃないか」
「あっ、モジャボロさん」
そのドラゴン、クォックスもモジャボロに声を返します。
「お久しぶり」
「こちらこそ久しぶり。しかしね」
「どうしてここにいるかだね」
「うん、それはどうしてかな」
「実はね」
こう言ったのでした。
「ここで探しものをしているんだ」
「探しもの?」
「実は宝石を持っていたんだけれど」
「宝石?」
「それを落としてしまったんだ」
この辺りにというのです。
「それで探してるんだけれど」
「その宝石はどんな宝石から」
「シトリンだよ」
「シトリン、黄水晶だね」
シトリンと聞いてすぐにこう言ったモジャボロでした。
「それはまたね」
「ここはウィンキーの国だから」
「黄色いものを落とすとね」
「見つかりにくいんだよね」
「そうだよね」
「それじゃあ」
恵梨香はクォックスの困っているお顔を見て言いました。
「私達も一緒にね」
「探してくれるのかな」
「ええ、困った時はお互い様よね」
「そうね」
トロットも頷くのでした。
「それはね」
「そうですよね、それじゃあ」
「恵梨香の言う通りね」
トロットもこう言うのでした。
「やっぱりね」
「ええ、それじゃあ」
「皆で一緒に探しましょう」
「これからね」
「はい、今から」
「さて、黄色の中に黄色いものを落とした」
ここでモジャボロは言いました。
「それならね」
「目で見てもね」
トトが応えます。
「見付かりにくいね」
「枝を林の中に落としたら」
「もうそれで見付かりにくいね」
「目で見ようとしたら」
これがモジャボロの言うことでした。
「どうしてもね」
「つまり、だね」
「そう、君の出番だよ」
こうトトに言うのでした。
「もうわかっている様で何よりだよ」
「だって僕は犬だよ」
これがトトの返事でした。
「犬ならね」
「お鼻だね」
「そうだよ、犬のお鼻はね」
それこそというのです。
「目よりもずっとわかるから」
「色々なものがね」
「犬はお鼻で感じるんだ」
まず第一にというのです。
「見るよりもね」
「そうだね、だからね」
「ここは君の力を借りたいけれどいいかな」
「お安い御用だよ」
笑顔で答えたトトだった。
「クォックスさんのシトリン探し出してみせるよ」
「そうしてくれるかい?」
「うん、それでだけれど」
トトはクォックスの前に来てです、そのとてつもなく大きな身体を見上げて言いました。
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