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シークレットゲーム 〜Not Realistic〜
信頼
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 それは、暫く山道を歩いている時の事。

「さて……、向こうに誰かいるな。」
「え?」

 日影が視線を向けたほうには茂みが繁り、木々もあり視界を遮っている。悠奈は眼を凝らしてみてみたが、確認する事は出来なかった。

「男……だな。体格も上々」
「見えないし……。一体どんな視力してんの……」

 ゆっくりと近づいていくと、木々を超えた先に少し開けた場所に出てその場に確かに男はいた。長身の男で同じく首輪を巻いており同じプレイヤーなのは間違いないだろう。

「ぬ……。なんだお前たちは?」

 男は、2人に気がついたようで振り返っていた。

 だが、この時妙な気配を感じていた。だから、悠奈と日影から適度に距離を取っていた。
どんな行動をとっても対処できるように間合いを取るその行動。どうやら、ただの素人ではないのは判る。

「(……この展開も狙っていた、とも言えるな。当然だ。この初期配置は連中が決める事だから)」

 刀真は、そう分析をしていた。

 見た所 この男は慎重派であり、体格も良く 重心を軽く低くし、やや 拳に力を入れているのも判った。恐らくは、格闘技。拳闘の類を扱えるのだろう。

「なんだ。と聞いている」

 警戒心を多少前面にむき出し、再びそう聞く男。

「ああ、私は藤堂悠奈よ。で、こっちは」
「日影……日影刀真だ」
「そ、日影さん。それで、キミは?」

 悠奈が軽く挨拶をしながら、男に名を聞こうとするが……、男は口を噤んだ。どうやら、答えるつもりは無いようだ。

「あら……、ダンマリ? 名乗らせといてそれはないんじゃない?」
「別にオレは、名を頼んだわけじゃない。『なんだ?』と聞いただけだ。……気配を消して近づいてきた怪しい輩に名乗るつもりは無い」
「……」

 返答を訊いて、刀真は少なからず後悔をしていた。

 日頃の癖で、気配を殺す事は多いのだ。それをこの男は感じ取った様子だ。それだけでも対したものだと思えるが、今はマイナスでしかない。

「それは……、まぁ こんなヘンテコな事態だし? 慎重になるのはしょうがない、って思わない? キミもそうだし」
「……それでも オレは怪しい者達に名乗る名は無い」
「ご、強情ね……。日影さんも何か言ってよ。ちょっとは」

 悠奈に話を振られた所で、刀真はゆっくりと頭を振ると、答えた。

「そうだな……。確かに、オレ達の初対面の状況が不味かったようだな。なら、こうしようか」

 男の目を見ながら、刀真は続ける。

「これから言う言葉。信じる信じないはあんたの勝手だ……、オレは 情報を1つを手に入れている。それを無料で提供しよう。そして、その代わりに自己紹介を願いたい、が。……勿論、その判断は聞いた後
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