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シークレットゲーム 〜Not Realistic〜
襲撃
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そして、暫くしての事だ。
他愛も無い話を続けていた時。
ふと、刀真は脚を止めた。
「どうかしたの? 日影さん」
悠奈も思わず脚を止めそちらを向く。
日影は何も言わず人差し指を口元へと持っていった。悠奈は、口を閉じろと言う合図なのは直ぐに理解した。そしてそのまま日影はゆっくりとした動作で背後を振り返る。
「……何か様か? そこにいる者」
低いが、まだ薄暗い森の中で透き通るように声は響いた。
距離的は、およそ15m程だろうか?
悠奈の時より気配の消し方が上手い。だから、この背後にいる者は恐らくは訓練をつんでいるか、それに匹敵するほどの修羅場を経験している者だと推測がついた。茂みがゆらっと動くのが目に見える。
その次の瞬間。
茂みから人影が躍り出てきた。
真っ直ぐ向かってくるのは、刀真の方だった。
ハンドポケットをしていた日影はそのままの姿勢で動かなかった。一見すると、明らかに隙がある、と思えるのは、刀真の方だったのだが、その姿を見た襲撃者は 一瞬だが速度が遅くなった。
何かを感じ取ったのか……距離にして5m程手前で向かう角度を変えた。
狙いは男の方じゃなく女の方。木々を蹴って素早く悠奈に近づくとその勢いのまま悠奈の脇腹に蹴りを入れた。
“ガスッ!!”
「ッヅ!!」
悠奈の脇腹に走る鈍い痛み。
そして、思わず口から苦悶の声が漏れる。打たれた脇腹を抑えながらたたらを踏んだ。
「こ、このぉぉぉ!!!!」
だが、悠奈は、すぐさま反撃に出ようとしていた。
燃え上がるような赤い髪を振り乱しながら、突進する。だが、この襲撃者は相手が2名いる為、攻撃をしたら直ぐに回避をすることを予め決めていたのだ。だから、悠奈が反撃しようとした時にはもう間合いにはいない。その相手の動きはまさに迅速だった。
「あッ!! くそっ!!」
悠奈はその事に気がついたが、もう後一足ほどでまた茂みへと隠れられるだろう。ならば、この闇に加えて、追いかけるのは無理だ。
「――止めておけ。もう、追いつけない。体力と時間の無駄だ」
日影は、今にも追いかけそうな悠奈を止めた。
もうそろそろ、夜も明けるとは言え、森の中だ。追いかけるとなると、闇雲にもなりかねない。なら、言うように後を追うのは時間と体力の無駄なのは明白だ。
「くそ……、アイツ、信じらんない、何なのよ! アイツ!?」
蹴られた脇腹がズキリと痛み奥歯をかみ鳴らしていた。
日影の言うとおり、深追いするのにはリスクが高く、相手の確認と蹴り返すくらいしかメリットが無い。故に、逃がす以外に選択肢はなかったんだ。
「泣き寝入り……、くそ、腹立つわね」
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