10.『覚醒』
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絵文。お前も連れ戻してやるから安心しろっ!」
レイゴの生成した鎖が空中で海蛇のようにたなびき、絵文を巻きつけた。
「絵文!」
「大人しくすれば乱暴には扱わんよ」
固い手が二人を抱え、レイゴは一仕事終えたように息をついた。
一方東は、ギリギリと歯ぎしりをしながらこれからのことを考えていた。
結社に連れ戻されれば、いつ解放されるかわからない地獄の日々が待っている。
地獄の渦中に、絵文を置いておく気か?
一日でも多く、絵文を自由にしてあげたい。
戻ればきっと、殺されるんだ。
そうだ、きっと妖怪たちの餌になってしまうのだ。
絵文が、殺されてしまうのだ。
絵文が殺される。
絵文が殺される。
絵文が殺される。
絵文を死なせるものか。
絵文だけは守り抜く。
絵文だけは、自由に生きてほしい。
だから。
『絶対に』抗う。
たとえ、この手を汚そうとも。
「っ!?」
レイゴは目を見開き、東を見た。
小さくした背はいつの間にか大きくなり、瞳は鮮血のように赤く染まっていた。
神々しく、禍々しく。
その姿は人とも妖怪ともとれない。
そう。
神である。
「がっ!?」
レイゴは自分がいつの間にか地面に叩きつけられていたことに気付く。
すぐに体勢を立て直し、光弾をいくつも飛ばして応戦した。
しかし光弾はものの見事に弾き飛ばされ、消滅した。
「なんだ……この力は……!?」
絶対と相対を司る神。
「……」
「けっ……まさかこうなる日が来るとは」
レイゴは鎖を宙に浮かせた。
鎖には冷たい色をした光が集まっていく。
「ふん、死ぬんじゃないぞ……?」
「……?」
じっと固まって見ていた絵文は、何かに違和感を感じて首を傾げた。
その違和感が何かわかる前に、レイゴは力を解き放った。
「霊光・人妖の鹿鳴館」
鎖から放たれた光は魔法の森を扇状に吹き飛ばし、集まっていた雲はどこかへ消えた。
砂煙があがるなか、レイゴは力を急激に使ったためカクンと膝をついた。
一方、絵文も両膝をつき、ぽろぽろと涙を零していた。
「お兄ちゃんっ……!」
「……やりすぎた、か?」
しかし。
東はそこに『一歩も動かず』に立っていた。
「お兄ちゃん……!」
「っ!?」
完全に無傷であった。
放った方のレイゴでさえも反動でほんのわずかにダメージを受けているのにもかかわらず。
「へへ……なるほど。そりゃ、あいつも恐れるわけだ」
東は手を伸ばし、レイゴを消そうとした。
しか
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