慟哭のプロメテウス
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か。そうとも、違うよ。これはオレの力」
銃弾を介さずに力を使ったせいで、バレたようだ。面倒だな、等々と思いつつ、青年は銃を構え直す。
「オレの刻印魔術、さ」
「そうか……貴様、我と同じく『吸血鬼』であったか……」
納得が行った、と、男は呻く。
上位『吸血鬼』の刻印魔術を無効化するだけの力をもつ、刻印魔術。丸腰に近い軽装。全て、上位の『吸血鬼』なら、なし得ることだ。
「だが貴様……何故だ? 何故、それほどの力を持ちながら、『吸血鬼』狩りをしている……?」
「言ったろ。探してるってな」
──手掛かりを。
『十三死徒』への手掛かりを。
全ては、『十三死徒』を全滅させるため。それだけが、青年の目的だった。
唯の狩人とは、訳が違う。『十三死徒』以外は、有象無象でしか無いのだから。
「く、くく……なるほど、な」
「まぁ、そんな所だ。いけねぇ、お喋りが伝染っちまったかな……回復されちまう」
「気付いていたか」
いつの間にか、男の体の溶解していた傷口は、段々と治癒し始めていた。あれほどの傷を負いながらも回復するその治癒力、もはや驚嘆の一言でしか語れまい。
だが。
「決着を着けないと、な」
青年は、それすらも上回る。
「──【星の熱、光の焼き印、煌輝の焔】」
彼の口から紡ぎ出されるそれは、ある意味では『祝詞』といえるのやもしれない。
それは、己の勝利に捧げる詩。
「【蓮の炎、焼き尽くせ、主の御名のその元に】」
男は、殺すこともできるだろう。青年の詩が終わる前に、無防備な彼を殺せるだろう。
「あ、ああ……」
しかし詩は確かな重圧となって、それそのものが男を蝕む。
「【双子星、塩の街、十字架の丘──皆悉く、終えて消えろ】」
「貴様は……いや、『あなた様』はまさか……」
──誰も。
「【この終演に終わりを告げる】」
──誰も、止められない。
「【始まりの光が、この地を照らす前に】」
ただ、詩が、祝福が、完成するのを。神罰が下されるのを、待つのみ。
「【私は、主よ──あなたを三度、否定する】」
それだけが──赦された、たった一つの行動なのだから。
「【─起源開法─】」
そして。
「【《終末融解、無価値の都に終演を》】」
──焔は、墜ちる。
断末魔の悲鳴を上げる間すら赦されず、『吸血鬼』の男は内部から爆発した。
いや、爆発、という表現は正しくない。音もなく、『燃え上
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