33:死神は
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「ぁぁぁあっ……!!」
『…………ッ!!』
マーブルの気合いの叫びが、死神の大鎌を押し留め……いや、逆に徐々に圧し始めた。再び死神の上体が仰け反り始め、その足がゆっくりと地面へとめり込んでいく。やはりマーブルの筋力値は、現在莫大なステータス補正を受けているであろう死神ほどではないにしろ、戦鎚使いとして途轍もないものがある。今はアスナの助力や死神の不利な体勢の事もあり、ついに死神の筋力を上回り始めたのだ。
「さぁ……死神……あなたは、誰!?」
マーブルは力を込めつつ片手を離し、震えるその手を死神のフードへと伸ばし始めた。圧されている死神はそれに抵抗できない。
「ユミルを泣かせる……あなたは、誰なのッ!?」
『ッ!?』
そしてついに。
マーブルは死神のフードを掴み。
引きちぎるように剥ぎ取って放った。
『…………ッ!!』
「くっ!?」
「きゃっ!?」
顔を晒された死神は、死に物狂いの強引な振りかぶりで二人の武器を一気に押し払い、大きく後方へ跳躍して彼女らから距離を取った。
……………。
そして、一時の静寂が訪れる。
宙を待っていた死神の真っ黒なフードが、途中で数度だけはためいて、ぽふ、と静かに地に落ちた。
……俺達の目の前には、死神の正体が、素顔が、そこにあった。
「――とうとうバレちゃった、か……」
まず沈黙を破ったのは、今まで口を一切閉じていた《死神》だった。
そう。まずは《犯人》が、そう喋ったのだ。
「……そんな……なんで……」
続いてそう口を開いたのはマーブル。
《そいつ》は、マーブルを見据えて言った。
「……残念だったね、マーブル。推理が外れて」
透き通るような、軽やかな声だった。
「……………………うそ」
マーブルは呆然と、ただ信じられないものを目の当たりにしたかのように、ドザ、と力なくその場で両膝をついた。
アスナ達もただ絶句し目を見開いて、その《ありえないと信じていた光景》を、ただ見ているだけだった。
俺は表情を変えず、その顔をじっと凝視する。
漆黒の装束とは似合わない、流れるようなプラチナブロンドの髪。碧玉の翠の瞳。可憐な顔立ち。
「やっぱり……《死神》は、お前だったんだな……」
そして俺は、静かに《そいつ》の名を告げる。
「――……《ユミル》」
かつて俺達と行動を共にし、時に戦い、時に共に同じ釜の飯を食い、時に語らいあった、斧使いだった彼は。
冷たい視線を俺に寄越して、まるで心の無い言葉
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