暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
33:死神は
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
「ぁぁぁあっ……!!」

『…………ッ!!』

 マーブルの気合いの叫びが、死神の大鎌を押し留め……いや、逆に徐々に圧し始めた。再び死神の上体が仰け反り始め、その足がゆっくりと地面へとめり込んでいく。やはりマーブルの筋力値は、現在莫大なステータス補正を受けているであろう死神ほどではないにしろ、戦鎚使い(メイサー)として途轍もないものがある。今はアスナの助力や死神の不利な体勢の事もあり、ついに死神の筋力を上回り始めたのだ。

「さぁ……死神……あなたは、誰!?」

 マーブルは力を込めつつ片手を離し、震えるその手を死神のフードへと伸ばし始めた。圧されている死神はそれに抵抗できない。

「ユミルを泣かせる……あなたは、誰なのッ!?」

『ッ!?』

 そしてついに。

 マーブルは死神のフードを掴み。

 引きちぎるように剥ぎ取って放った。

『…………ッ!!』

「くっ!?」
「きゃっ!?」

 顔を晒された死神は、死に物狂いの強引な振りかぶりで二人の武器を一気に押し払い、大きく後方へ跳躍して彼女らから距離を取った。



 ……………。



 そして、一時の静寂が訪れる。


 宙を待っていた死神の真っ黒なフードが、途中で数度だけはためいて、ぽふ、と静かに地に落ちた。

 ……俺達の目の前には、死神の正体が、素顔が、そこにあった。




「――とうとうバレちゃった、か……」



 まず沈黙を破ったのは、今まで口を一切閉じていた《死神》だった。

 そう。まずは《犯人》が、そう喋ったのだ。


「……そんな……なんで……」


 続いてそう口を開いたのはマーブル。

 《そいつ》は、マーブルを見据えて言った。



「……残念だったね、マーブル。推理が外れて」



 透き通るような、軽やかな声だった。


「……………………うそ」


 マーブルは呆然と、ただ信じられないものを目の当たりにしたかのように、ドザ、と力なくその場で両膝をついた。

 アスナ達もただ絶句し目を見開いて、その《ありえないと信じていた光景》を、ただ見ているだけだった。

 俺は表情を変えず、その顔をじっと凝視する。

 漆黒の装束とは似合わない、流れるようなプラチナブロンドの髪。碧玉の翠の瞳。可憐な顔立ち。


「やっぱり……《死神》は、お前だったんだな……」


 そして俺は、静かに《そいつ》の名を告げる。


 
「――……《ユミル》」



 かつて俺達と行動を共にし、時に戦い、時に共に同じ釜の飯を食い、時に語らいあった、斧使いだった彼は。

 冷たい視線を俺に寄越して、まるで心の無い言葉
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ