33:死神は
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マーブルはリズベットに微笑みかける。
……それは心なしか、さっきまでの謎めいたそれよりも、温かなものだった。
それから彼女は表情を改め、視線を死神へと戻す。
「……さて、死神。そろそろ正体を暴かせて貰うわよ」
ガシャ、と大鎌を両手でしっかりと持ち、大きく掲げ上げて臨戦体制に入った。そしてチラリと隣のアスナを見る。肩をビクッと浮かせてレイピアを自分に向けて強く構える彼女を、マーブルはクスッという苦笑の後……今度こそ見間違えようのない、いつもの温かな微笑みで見つめた。
「……アスナちゃん。もし、こんな私でも信じてくれるのなら……良ければ、少しだけ力を貸してもらえないかしら?」
「ま、マーブルさん……」
アスナは数秒だけ呆気にとられたかのようにマーブルを眺めた。
……アスナは数瞬、それでも迷った素振りを見せていたが、それからすぐに表情を改め、そして「……はい」という確固たる返事と共に彼女の大鎌と並んで己のレイピアを死神へと構えた。すると聞こえてきた「ありがとう、アスナちゃん」というマーブルの優しい呟きに、今度こそアスナの肩から強張った緊張が抜けた。
そして表情を引き締め……
「……シッ!」
『ッ!』
先制として、まずはアスナが閃光の如く、二つ名に恥じぬ速度で死神へと肉薄し、連撃を浴びせる。死神もその斬撃の群れを全て受け流しては叩き落し、反撃に恐ろしく長大な刃を大きく横袈裟に振りかぶり、アスナの脇腹へとぶおんと低く空気を裂く恐ろしい音を鳴らして薙ぎ払う。
だが……
「させないわよ!」
それをアスナに追いついたマーブルの大鎌が、スイッチで割り込んでパリィした。ガァンという耳をつんざくような大刃と大刃が衝突する音と共に、互いの大鎌が一瞬動きを止める。そこに……
「イヤァッ!」
『…………ッ!?』
というアスナの気合一閃の突きが見事に死神の胸部中央を捕らえた。
モロに直撃を受けた死神は大きく真後ろに吹き飛ぶも……驚いたことに、HPが二割も減っていなかった。ステータス上昇には、筋力値だけでなく、防御値まで上昇するのか……。
死神が吹き飛び、体勢を整える前にアスナが再び肉薄し、さらに追い討ちの突撃刺突を仕掛けた。死神は上半身が後方に仰け反った不安定な体勢でそれをなんとか大鎌の柄で受け止める。そしてやはり凄まじい筋力にものを言わせ、死神は衝突部位からギチチチと火花を散らせながらレイピアを押し返して体勢を整えていく……しかしそこに。
「二人掛かりなら……どうかしらっ!?」
『ッ!?』
そこにマーブルの加勢が加わった。ドガンッ、という大鎌の振り下ろしの衝撃がレイピアの刺突のエネルギーと合わさり、死神の力と真っ向から衝突する。
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