33:死神は
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、赤黒い、一振りの――《大鎌》。
「「《死神》が……二人!?」」
俺とアスナは同時に驚愕の声を上げた。
そう。姿形は多少違えど、アスナを手助けした謎の闖入者は……敵対する死神とそっくりの風貌だったのだ。
俺達が目を見開いていると、助勢をしてくれているもう一人の死神が、チラリとこちらを向いた。
こちらも深くフードを被り、僅かに覗く口元には……微笑み。
それは見覚えのある微笑みだった。
「あっ……!」
それもその筈である。
……俺はつい最近まで、その温かな微笑みの元でお世話になっていたのだ。それが誰かと思い当てるのは大して難しい事ではなかった。
「あ……あなたは……!」
俺が声をあげると同時に、そいつは右手で武器を死神の大鎌へと押し当てたまま、空いた左手で自らのフードを脱ぎ降ろした。
「……こんばんは。キリト君、アスナちゃん」
落ち着いた、大人の女性の声。
――その正体は、ウィークラックの女宿主、マーブルだった。宿の時と変わらない柔らかな微笑と糸目が、俺を見つめていた。
「ま、マーブルさん……!? なんでっ……」
死神と鍔競り合いを続けながらも、アスナも驚愕を隠せないでいた。
「マーブルさん、あんたは……いや、あんたも、死神……だったのか?」
「……そうとは言えないし、あるいは、そうとも言えるわ……ねっ!!」
『……ッ!』
マーブルは言いながら一度死神の大鎌から自分の大鎌を離し、体重を乗せた豪快な横薙ぎを死神の大鎌に浴びせた。その迫撃砲のような一撃には、それを受け止めた死神も堪らず地面に両足の跡を深く残しながら、ズザザザと数メートル押し戻された。すぐに武器を構えなおすも、怯んだのか反撃をしてくる様子は無い。
「マーブルさん、どういう意味ですか……?」
アスナはマーブルから数歩離れ、数秒迷った挙句、彼女にもレイピアの切先を向けながらそう尋ねた。マーブルはその矛先を向けられても微笑みを崩さなかった。
だが、今ではその微笑みは、内心を読み取れぬ謎めいたそれに見える。
「……今まで隠してて、ごめんなさい」
まずはそう火口を切って落として、マーブルは話を進めた。
「私は、確かにエクストラスキル《大鎌》習得者よ。だけど……私は死神事件の犯人ではないわ。私も……死神を探していたの」
マーブルは自分の大鎌の柄を強く握りながら、沈黙を破らない死神に向き直る。
「――……そして、やっと見つけたわよ……死神……!! あの子を、ユミルを泣かせる元凶……!!」
ギュウウウ、と彼女の手から、強く武器を握る音がこちらにも伝わってきた。
……そして、初めて見る、彼女の憎しみの表情。
「ど
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